中国の需要、依然世界の資源国や製造業を押し上げ
中国の需要、依然世界の資源国や製造業を押し上げ
http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702304396804579363670463657100.html?dsk=y
2014年 2月 05日 11:47 JST
アフリカ・ジンバブエの入札会場に積み上げられたタバコの葉は、中国の需要がいかに多くの供給者を救っているかをうかがわせている。アジアの巨人の需要が減少しているとの恐れから投資家が新興国から逃げ出している中でもだ。
ジンバブエは昨年、同国産タバコの3分の1を最大の顧客である中国に売却し、資金不足に陥っている同国に約7億ドル(711億円)がもたらされた。ジンバブエ政府は今月、例年より早く年次入札を始めた。同国のタバコ産業・販売委員会は、生産量の拡大と中国の需要が続くことで最大10億ドルの収入が得られると期待している。
ジンバブエのたばこメーカー、サバンナ・タバコのアダム・モライ会長は「厳しい時には喫煙量が増えるものだ」とし、「中国には、もっとたばこを吸いたい人がたくさんいる」と語った。
南アフリカら南アジアに至るまで、投資家はかつて農作物や天然資源などに対する中国の盛んな需要で潤っていた、コモディティーの豊かな多くの新興国への関心を失っている。しかし、これまでのところ中国経済の減速はその供給国に大きな打撃を与えていない。
これは、旺盛な中国の需要が大幅に減退しておらず、中国の需要に依存していた多くの新興国も中国の落ち込みを補えるだけの内需が育っていることによるものだ。エコノミストや企業幹部らは、世界市場のいら立ちは、中国の需要の実際の落ち込みというよりは同国の経済成長が徐々に衰え続けるとの見方を反映したものだと指摘している。
投資銀行ルネッサンス・キャピタルのチーフエコノミスト、チャールズ・ロバートソン氏は「人々は成長鈍化のニュースを現実の国内総生産(GDP)の影響と誤解している。まだゲームは終わっていない」と述べるとともに、「中国の成長ストーリーは、パーセンテージが小さくなったとしても続いている」と指摘した。
米連邦準備制度理事会(FRB)の債券購入プログラムの縮小も一因となり、投資家が最近、新興国から逃げ出している。インドネシアや南アフリカといった重要な中国への供給国からも資金が引き揚げられている。その通貨、ルピアとランドの対ドル為替レートはこの1年間に4分の1も下落した。
投資家は、中国の成長減速がインドネシアの石炭、ニッケル、ゴム、南アのクロム、マンガン、プラチナなどの需要を減らすと懸念しているのだ。
中国経済は実際、冷え込みつつある。同国政府によると、昨年の成長率は7.7%で、2012年と同じだが、11年の9.3%を大きく下回った。一部のアナリストは今年の予想成長率を7%にまで引き下げている。
また、中国向けに生産急増させたことで供給が膨れあがった。オーストラリアの新鉄鉱石鉱山やインドネシアでの大規模ニッケル増産などがそれだ。これらの新たな供給は価格を圧迫している。鉄鉱石や銅、ニッケルの価格は下落した。中国での自動車販売の鈍化、アパート建設の減少、電子機器などの需要減退といった見通しが金属需要をさらに減退させる可能性がある。
しかし、これまでのところ、中国の成長率の小幅鈍化にもかかわらず、金属や鉱物への需要は全般に維持されている。同国の昨年12月の鉄鉱石輸入は合計7340万トンで、11月の過去最高水準に近く、昨年初めの水準を5分の1近く上回った。
鉱物や卑金属の需要が一因となって、南アの貿易収支はアジアとアフリカ向け輸出増で昨年11月に黒字転換し、黒字幅は12月に拡大した。南アのスタンダード・バンクによると、アフリカ諸国の昨年の対中国貿易額は2100億ドルと、12年から6%増えた。
スタンダード・バンクのエコノミスト、サイモン・フリーマントル氏は「中国経済の減速がアフリカとのつながりをむしばむという話はうそだった」とし、「アフリカのコモディティーに対する中国の需要は依然旺盛だ」と話した。
オーストラリアの鉄鉱石生産会社フォーテスキュー・メタルズ・グループのネブ・パワー最高経営責任者(CEO)は、米国に次ぐ世界第2の規模である中国経済はあと数年は健在だとの見方を示した。同CEOは、中国内での都市部への人口流入が続いており、これが新しいインフラ、工場、住宅の需要を押し上げていると述べた。その上で、「中国に関しては弱気の見方があふれているが、これまでに実際に起きていることだけを見る必要がある」と語った。
こうした考えから、一部の企業は市場のシグナルに反した行動を取る。オーストラリアに本拠を置く世界有数の鉄鉱石生産会社リオ・ティントは中国経済の見通しを基に、その生産量を17年までに4分の1近く増やすことを計画している。同社は中国の昨年の鉄鋼需要は7.5%と、12年の2.2%を大きく上回る伸びになったと推定している。
中国も鉱物資源の豊かなアフリカへの投資から撤退してはいない。国営の中国電力投資集団は昨年9月、ギニアと総額60億ドルのボーキサイト採掘契約を結んだ。同国には世界のボーキサイトの半分が埋蔵されているとも言われている。
中間層の生活水準を手に入れた中国国民が、車を持つようになったことでアフリカの原油への需要も高まっている。
アフリカ第2の産油国のアンゴラは、日量180万バレル産出される原油の40%を中国に輸出している。同国は生産量が来年までに10%増加するとしている。
「アンゴラ国民は、消費意欲とともに若干の蓄えも持ち始めた」と、同地に最近31店舗のスーパーを開店したブラジルの複合企業オデブレヒトの同地のディレクターを務めるグスタボ・フォンテス氏は語った。
市場調査会社ユーロモニター・インターナショナルのローレン・ブランディ氏は、ガーナでは中国のチョコレート需要拡大に期待していると指摘する。中国のカカオ需要が年5%ペースで拡大すると予想されることから、世界のカカオ需要は少なくとも2018年まで供給を上回るとみている
| 固定リンク
「ニュース」カテゴリの記事
- JT 米の大手とたばこの商標権など買収で合意(2015.10.02)
- 違法なたばこ販促活動 Anvisaが調査に乗り出す(2014.10.31)
- 米国の非喫煙世帯が20年前のほぼ倍に、マナーに変化=政府調査(2014.09.05)
- 「大麻禁止の連邦法、撤廃を」 NYタイムズ社説(2014.07.29)
- “大麻を合法に” NYタイムズが社説で主張(2014.07.29)
最近のコメント