「電子たばこ」が「たばこ」を駆逐する?
「電子たばこ」が「たばこ」を駆逐する? ベンチャー、大手が入り乱れ、欧米で市場が急拡大
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20140206/259374/?n_cid=nbpnbo_top_updt&rt=nocnt
2014年2月10日(月)
昨年、ロンドンのとある人気のバーで飲んでいたところ、ある中年男性が白い煙を口から吐き出した。明らかに、たばこの煙に見える。だが、ロンドンでは2007年から、バーやレストランなどを含む屋内の公共の場での喫煙が禁止されており、たばこを吸うのなら屋外に出なければならい。にもかかわらず、その男性は店内で堂々と白い煙を吐き続けている。バーのオーナーか有名人だったとしても、許される行為ではない。一体、何が起きているのか。
だが、その後、男が吐き出していた白い煙の正体が、たばこの煙ではなかったことを知る。ある日、女友達の家を訪れたときのこと。彼女は昔から、極端なたばこ嫌いなのだが、その彼女の部屋で、婚約者がたばこを吸っているではないか。その彼も、これまでは彼女に嫌われまいと、それまでは部屋では決してたばこを吸ったことがなかった。
「ちょっとあなたたち、どうしちゃったのよ?」。驚いてそう声を上げると、彼は笑いながら種を明かした。
「これは『たばこ』ではなくて、『電子たばこ』さ。吸っているのは煙ではなく、蒸気なんだよ。だから、どこでも吸える」
「スモーク」ではなく「ヴェープ」がブームに
「電子たばこ」とは、従来のたばこを真似たバッテリー駆動の装置のこと。たばこの葉を燃やして出る煙ではなく、ニコチン溶液を電気で熱して発生させた蒸気を吸う。そのため、電子たばこを吸う行為は「スモーク(煙を吸う)」ではなく「ヴェープ(蒸気を吸う)」と呼ばれる。
電子たばこには、ニコチン溶液に通常のたばこの味だけではなく、メンソールやコーヒー、チョコレートなど様々な香りが加味された種類があるほか、ニコチンを含まないものもある。
この電子たばこ市場が今、欧米を中心に急成長をしている。調査会社のユーロモニターによると、現在の世界の市場規模は約35億ドル(約3500億円)。米国はその約半分を占め、欧州連合(EU)が約10億ドル(約1000億円)。英国はEU加盟国で最大の約3億ドル(約300億円)だという。
ただし、「市場がどのような状況になっているのか、本当のところはよくわからない」(あるたばこ業界関係者)というのが実情で、世界の市場規模は2017年までに約100億ドル(約1兆円)に達するという予測から、2047年までに既存のたばこ市場を上回るという予測まで様々だ。ただし、急激に伸びていることだけは、業界の共通認識になっている。
今のところ販売されている電子たばこは、中小の新興ブランドの製品がほとんどで、大半が中国製だ。だが、ここにきて大手たばこ会社も参入に向けて動き出した。2012年12月、英ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)は、電子たばこなどニコチン関連製品の研究・開発を手がけていた英CNクリエイティブを買収。今年1月には、米国以外の地域で「マールボロ」などを展開する米フィリップ・モリス・インターナショナルが、イタリアに5億ユーロ(約900億円)を投じて“リスク低減型商品”の工場を建設すると発表した。
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