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やめたくてもやめられない… 体と心で探る禁煙

やめたくてもやめられない… 体と心で探る禁煙

ニコチン徐々に抑制、やめた自分をイメージ

2014/1/24付

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO65792340U4A120C1EL1P01/

たばこをやめたくてもやめられないのがニコチン依存症だ。吸い始めた年齢が若いほど依存症になるケースが多いという。国は20代のニコチン依存症患者の禁煙治療の支援拡大を検討しており、喫煙が原因の医療費増大に歯止めをかけたい考えだ。4月から新年度が始まるのをきっかけに、禁煙に挑戦する人もいるはず。途中で諦めず、効果的に禁煙する方法を探った。

ニコチンの依存度は禁煙外来の依存度テストで10項目中5項目が当てはまると判定される。国内の喫煙率は男女合わせて約20%で、10年前と比べてもほぼ横ばいだ。約7割がニコチン依存症で何度か禁煙を試みても挫折してしまう。日本禁煙学会(東京・新宿)理事長の作田学医師は「アルコール依存症やコカインなどのドラッグ中毒と同じと考えていい。依存症の傾向がある人は、勤務中でも我慢できずに吸ってしまう」と話す。

 ニコチンは肺から急速に吸収され、6~7秒で脳に達する。脳は快感や幸福感をもたらすドーパミンと呼ぶ物質をつくる。ニコチンは脳に対し、ドーパミンを過剰に出すよう働きかける。依存症になると、血液中のニコチン量が減るたびに快感を求めてニコチンを欲しがるという。

 何度も繰り返すうちにニコチンがないとイライラや落ち着かないなどの禁断症状が表れる。ニコチン依存症の一つ、身体的依存だ。たばこを吸うと頭がすっきりし、リラックスできると感じたら身体的依存を疑ってみた方がいい。

 一方、心理的依存もある。いつもの喫煙場所に行くと欲しくなったり、食後に吸いたくなったりするのは心理的依存の症状だ。

 ニコチン依存症から抜け出すには、身体的依存と心理的依存を克服する必要がある。作田医師は「身体的依存は禁煙すれば3カ月でなくなる。ただ、心理的依存は一生続く。癖や習慣が直りにくいのと同じだ」と語る。禁煙に挑戦してもまた吸ってしまうのは心理的依存の影響が大きい。

 効果的な禁煙方法はないのか。禁煙外来を開く中央内科クリニック(東京・中央)の村松弘康院長は「依存症の人が自力でたばこをやめるのは難しい。禁煙外来を受診するのが得策だ」と話す。

 村松院長は「体の中でニコチンが急に増えたり減ったりするのが依存症になりやすい条件」と説明する。急激な変動を徐々に和らげる方法が効果的だ。禁煙ではなく「卒煙」の気持ちが大切という。

禁煙を助ける道具には、電子たばこやニコチンガム、ニコチンパッチ、禁煙補助薬がある。ニコチンガムはたばこと同じで粘膜からニコチンを急激に摂取するため「依存は取れにくい」(村松院長)。ニコチンパッチは一定の濃度のニコチンを皮膚からゆっくり吸収させて持続するため、依存症の治療に有効という。

 たばこを吸いながら禁煙する禁煙補助薬は、脳内にニコチンと似たような物質を送り込むことで、ニコチンの脳内での働きを妨げる。村松院長は「薬を飲んでたばこを吸うとまずく感じやすい。まずいと食べたくないと思うように、もう吸いたくないと思わせる効果もあるので卒煙にはぴったりだ」と指摘する。中央内科クリニックの患者では3カ月後で約7割、再び吸う人が出ても1年後で約5割の人が禁煙しているという。

 なかなか治らない心理的依存症には、「認知行動療法が効果的」(作田医師)。なぜたばこを吸いたくなったのか、なぜやめられなくなったのか、禁煙したときの自分はどうなっているだろうと、想像した内容をメモにし、医師と面談しながら、やめる動機を育んでいくのが認知行動療法だ。作田医師は「たばこはストレス解消になるなどのゆがんだ知識や考えを正し、害が多いという考えに戻して禁煙させるのが狙いだ」と話す。

 禁煙外来にかからない場合には、電子たばこの使用や本数を減らす試みがある。だが、村松院長は「電子たばこは、たばこを吸うという動作が習慣を呼び覚ます。本数を減らすのは、ふとしたときに吸ってしまうとおいしく感じられて逆効果だ」と語る。

 国は禁煙外来で適用する保険の範囲を拡大することを検討している。現在は保険診療の条件の1つに1日の喫煙本数に喫煙年数をかけた数値が200以上という基準がある。だが、20代などの若い人は基準に満たない場合が多い。この要件を緩和して若年層の禁煙を支援しようという考えだ。

 たばこにはニコチンやタールの他にヒ素やホルムアルデヒドなどの有害物質が含まれる。たばこを吸わない人でも喫煙者がそばにいれば体内に取り込んでしまう。マナーやエチケットとして禁煙すると心に決めるのも効果的かもしれない。

(川口健史)日本経済新聞夕刊2014年1月24日付

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