心臓病(4)消えた息切れ 生まれた意欲
心臓病(4)消えた息切れ 生まれた意欲
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胸を開いた大きな手術痕があるため、奥さんが毎日見舞いに来て、入浴を助けてくれた。退院は2011年11月、偶然にも結婚記念日だった。看病してくれた奥さんに、深紅のバラを贈った。
1か月半の入院で、体重は10キロも減っていた。手術の後遺症から左肩が痛くなったり、便秘や不眠症に悩まされたりしたが、だんだんと治まってきた。少し無謀だったが、入院前に決めたスケジュール通り、翌年3月から地元福岡市の劇場での時代劇で主演した。
「具体的な復帰目標があったのが良かった。1か月の興行を終えて体重が減らず、逆に2キロ増えた。これで、自信がついてきたんです」。手術直前まで1日60本も吸っていたたばこをやめて、完全に禁煙したのも大きかったようだ。
手術が、「死について学び始めるきっかけになった」。しかし、新しい心臓弁を得て、息切れもなくなり、「老いのヒット」をねらう意欲も生まれてきた。
「味のあるジイさん役を演じてみたい。老人にしか表現できない曲も歌ってみたい」
4月にはまた福岡市で、1か月間の舞台をつとめる。金八先生は“卒業”したが、あの熱血を忘れず、年齢相応の個性が光る演技が楽しみだ。(文・斉藤勝久、写真・加藤祐治)
歌手・俳優 武田鉄矢(たけだ てつや)さん 64
(2014年2月6日 読売新聞)
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