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〈日本語の話せるタイ人医師〉 タイと日本、がんに違いは?

〈日本語の話せるタイ人医師〉 タイと日本、がんに違いは?
2014年2月28日(金) 00時04分

http://www.newsclip.be/article/2014/02/28/20933.html

Thiravud Khuhaprema, M.D., FRCST., FICS., Visiting Professor
Acting Hospital Director, Wattanasoth Hospital
東京医科歯科大学客員教授
ワタノソットがん病院院長代行

日本とのネットワークを駆使、在タイ日本人のがん予防に尽力

プロフィール:

 1953年パトゥムタニ県生まれ、バンコク育ち。名門トリアムウドムスクサー校卒。日本文部省の奨学金制度で東京医科歯科大学医学部に留学、日本で医師免許を取得し、消化器外科医として臨床経験を積む。帰国後はタイ国立がんセンターに勤務、2003年から2013年まで所長を務める。2014年1月よりワタノソットがん病院の院長代行。タイと日本の医療のかけはしとなるべく活動、阪神大震災ではタイ政府の医療チームの一員として現地に2週間派遣された。

がん発生は環境70%、遺伝30%

――タイと日本を比較して、がんの発生や種類に違いはありますか?

 がんの発生は環境と遺伝に左右されます。その割合は70:30で、環境はさらに食生活30%、喫煙30%などと分かれていきます。タイでは全国的に肝臓がんが多くみられますが、東北地方では胆管がんの割り合いが高めです。ニトロちっ素化合物を含有する淡水魚などを調理した郷土料理が多いためで、食生活による違いの一例です。最近では、ヒトパピローマウイルス(HPV)による子宮頸がんなど、感染症によるがん発生も知られるようになりました。

 日本ではご存知のとおり胃がんが最多ですが、これも塩分の取り過ぎという食生活が理由の1つです。ほかピロリ菌感染も原因です。日本に住んでいたころ訪問先でコーヒーをいただいたことがありますが、一緒に出てきたのが漬け物でした。最近は摂取が少なくなってきているようですが、それでも多いといえます。

 日本では肺がんも目立ちます。原因としてまず喫煙が思い浮かぶでしょうが、タバコは肺がん以外に喉頭がん、食道がん、子宮がんの原因にもなります。

 このように、がん発生の原因はとかく食生活やライフスタイルによって変わってきます。例えば米国に暮らす日本人の方々は、胃がんよりはむしろ大腸がんにかかりやすいといえます。欧米人のように牛や豚などの赤肉の食事が増えるのが理由です。タイ人の死因の筆頭は、1999年にそれまで最多だった交通事故を抜き、今やがんと心臓病です。 

医者任せではいけない「がん予防」

――予防や対策はどのようなものがあるのでしょうか?

 昨年まで所長を務めていたタイ国立がんセンターでは、公衆衛生の確立、医療技術の引き上げ、法整備などに取り組んできました。ワタノソットがん病院はタイ初のがん専門私立病院として、最先端の予防と治療の提案を行っていきます。
 日本対がん協会の「がんを防ぐ12か条」のように、 タイ国立がんセンターでも「5 Do 5 Don’t」を提唱しています。

5 Do 1):運動する(簡単な運動から始める) 2):充実した生活を送る 3):野菜や果物を食べる 4):バランスの良い食事を心がける 5):定期的に健康診断を受ける

5 Don’t 1):タバコを吸わない 2):異性との不健全な交際をしない 3):お酒を飲み過ぎない 4):日光に当たりすぎない 5):淡水魚を生で食べない

です。運動、食事、タバコ、飲酒、日光など、日本の12か条と同様です。

 予防は第1次から第3次に分かれ、第1次予防は上記の「5 Do 5 Don’t」のように文字どおり予防です。第2次予防はがんの「早期発見」。何となく気になるという程度の不調や変調でも、がんにつながる可能性は否定できません。性別、年齢、民族によって注意にすべき事項や時期が異なります。そして第3次予防は「速やかな治療」です。症状を悪化させない治療も、予防の1つです。

 がん予防は医者任せではいけません。第1次から第3次まで、最も大切なのは個人個人の意識の向上です。例えばアンチ・エイジングなど、多くの人が率先して取り組んでいます。がんもアンチ・キャンサーとして積極的な取り組みが必要です。「健康は売っていない」という格言がタイにはあります。病院は病気を予防して治すところであり、患者が健康を買うところではないのです。

日本の関係機関との提携、最先端技術の導入

――タイの病院も日本人が安心して受診できる設備を整えているのでしょうか?

 ワタノソットがん病院では、日本人が安心してがん予防、そして治療を受けられる環境作りを行っています。私は、日本人とタイ人の食生活やライフスタイルの違いを考慮して、日本人に適した予防や治療を推奨しています。将来的には、日本人向けのがんに関する市民講座を行ったり、がん検診の相談を受け付けられるようにして、予防に努めたいと思います。治療については、定位放射線治療や内視鏡術をはじめ、身体への影響を最低限に抑える「低侵襲性手術」を施行しています。

 当院での治療にとどまらず、日本に帰国した後もがん治療を続ける患者さんからの相談にも応じています。日本での経験、日本とのネットワークを駆使した活動に力を入れています。

 がん治療に関しては、日本に学ぶ面がまだまだあります。例えば、日本の医療機関と提携し、「重粒子線治療」などの技術を学んでいます。今後も関係機関と連携し、最先端の技術の導入に努力していきます。

Bangkok Hospital
住所:2 Soi Soonvijai 7, New Petchburi Road, Bangkapi, Huay Khwang, Bangkok 10310
電話:0-2310-3257 (Japan Medical Service 7時―20時) ファクス:0-2755-1261
Eメール:jpn@bangkokhospital.com (平日のみ) ウェブサイト:www.bangkokhospital.com

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