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[ニュース最前線]受動喫煙防止 知事どう結論

[ニュース最前線]受動喫煙防止 知事どう結論

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/yamagata/news/20140320-OYT8T00938.htm

 受動喫煙の防止策を盛り込んだ条例の制定を巡り、吉村知事が揺れている。2月27日の県議会本会議で「条例などの制定が必要。今年度中に判断する」と明言したが、今月6日の予算委員会では「いろいろな方の意見を聞きながら、時期を含めて方向性を検討したい」と結論を先送りする可能性を示唆した。賛成、反対両派の陳情攻勢も過熱しており、知事の決断が注目される。(宮本清史)

 「たばこの後に薬物に走る人が多いと聞いて、びっくりした」「車の中で親がたばこを吸っていて、子どもたちの健康被害が心配される」「たばこの煙にもPM2・5(微小粒子状物質)がたくさん含まれている」――。

 13日、NPO法人「やまがた育児サークルランド」の野口比呂美代表らが受動喫煙防止条例制定の陳情に訪れると、それを上回る勢いで知事がたばこの害悪を並べ立てた。

 知事は昨年2月に細谷知行副知事の起用を決めた際も、ヘビースモーカーで知られていた細谷氏に「減煙」を求めるなど、たばこの健康被害には「人一倍敏感」(県幹部)とされる。

 その知事が条例化に初めて言及したのは、2012年2月の記者会見だった。「県健康増進計画の見直し作業の中で、受動喫煙を防止するため、条例制定も視野に入れて議論を進めていきたい」。知事の意向に沿って、県は13年3月に策定した同計画に「受動喫煙防止条例の制定を視野に入れた取り組みを実施」と明記した。

 同7月に第三者による検討委員会を発足させ、今年2月6日には条例制定を求める報告書を受け取った。「きちんと手順を踏んできた」(県幹部)はずだったが、知事が今年度中に判断するとの意向を示すと、条例化を巡る賛否両論が一気に噴き出した。

 今月5日以降、飲食店や喫茶店、宿泊業などの各組合でつくる県生活衛生同業組合団体協議会や県たばこ販売協議会などは反対、県医師会、県歯科医師会など4団体のほか、日本労働安全衛生コンサルタント会山形支部などは賛成の立場で、それぞれ知事に陳情や要請書を提出するなどした。

 県議会では、阿部賢一氏(自民)が6日の予算委で「消費増税の影響を考えれば、今年度中に方向性を示すというのは理解しがたい」と述べるなど、慎重論が多数を占める。分煙設備の導入に多額の費用がかかるなど、事業者の負担が大きいためで、知事に近い県議も「罰則を伴う条例は無理。強制力のないガイドライン(指針)が落としどころだ」と打ち明ける。

 予算委で「受動喫煙防止が禁煙と誤解されている。周知がまだまだ不足していると感じている」とこぼす場面もあった知事。結論を出すために残された時間は10日余り。進むにしても引くにしても、批判を受けかねない状況に追い込まれている。

◆受動喫煙

 健康増進法で「室内などで他人のたばこの煙を吸わされること」と定義。多くの有害物質を含むたばこの煙が非喫煙者に及ぼす健康被害が問題視されている。同法は飲食店など多数が利用する施設の管理者に対し、防止措置を講じるよう努めなければならないと規定。こうした施設の全面禁煙を求める厚生労働省通知も出ているが、法的拘束力はない。都道府県では、神奈川と兵庫が罰則付きの防止条例を施行、東京と京都は独自のガイドラインや憲章を定めている。

(2014年3月21日  読売新聞)

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