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【アジアの目】包装変更も増税も 裏目に出た喫煙防止策

【アジアの目】包装変更も増税も 裏目に出た喫煙防止策

http://www.sankeibiz.jp/macro/news/140326/mcb1403262253013-n1.htm

 喫煙者にとって、多少の障害は、たばこを止める理由にはならないようだ。オーストラリアで先週発表された昨年のたばこ販売量は、過去5年間で初めて対前年比で増加に転じた。ロイター通信によると、安いたばこの販売量が増えたという。また、マレーシアでも昨年、たばこ税を上げたが、喫煙者の減少にはつながらず、逆に違法たばこが増えたという。東南アジア・大洋州各国では喫煙がもたらす害の大きさから、禁煙指導に力を入れるが、実効を上げるのは容易ではない。

 ◆満足度は下がったが

 オーストラリアは2012年12月、喫煙を減らすため、世界で初めて、紙たばこのパッケージ統一化に踏み切った。パッケージは無地とし、喫煙が原因とされるがんなどに冒された部位の写真を大きく掲載し、その下に商品名だけを表示した。カラフルなパッケージを禁止(宣伝はすでに禁止)し、商品名以外は区別がつかなくすることで、たばこのパッケージに対する興味をそぐことが目的とされた。

 それから丸1年。たばこ業界が発表した13年の紙たばこ販売量は約210億7400万本と、それまでの4年間、前年比で減少してきたにもかかわらず、逆に同0.3%増となったという。

 あくまで、たばこ会社が小売業者に販売した紙たばこの数量で、消費者が買った数量ではない。たばこ会社側は、正確な理由はわからないとしつつ、巻きたばこと安い紙たばこの出荷量が増えていることから、安いたばこに変えた分、買う量が増えたのではと推測している。

 パッケージの簡素化が本格化した昨年7月、オーストラリア・ビクトリア州がん協会の委託で行われた研究では、同国の喫煙者500人に聞いたところ、たばこ箱のパッケージが簡素化されたことで、満足感が薄れたと答えている。自分が吸っているたばこの銘柄は変わっていないのに、安物に感じるようになり、止めたいと考える人が多かった。しかし、実際は満足感が薄れた分、より多くのたばこを吸うようになったようだ。

 たばこのパッケージを変えるのではなく、増税による値上げで喫煙を減らそうとしたのが、マレーシアだ。たばこや酒にかかる税金は英語で「SIN(罪)TAX(税)」と呼ばれ、悪習慣にかける税金とされることから、為政者にとっては同じ増税でも痛みが少ないらしい。だからというわけではないが、喫煙者を減らすためという理屈で容易に増税されることが多い。

 ◆違法品が増加

 マレーシアの地元紙ニュー・ストレーツ・タイムズによると、昨年9月にたばこ税を引き上げ、紙たばこ1箱の価格は10~12リンギット(約310~370円)程度とした。これに対して密輸品のたばこは1箱3リンギットと格安のため、取り締まりを強化したにもかかわらず、密輸品の流入が増加したという。

 貧しい地方や低所得者層では、これら密輸たばこよりもさらに安い、香辛料の原料であるクローブを使った巻きたばこ(クレテック)や、他の違法たばこが売れるようになった。

 さらに、たばこは若い世代、特に学生にも広がっている。同紙によると、休み時間に中学校の近くの店でたばこを買って吸っていた生徒の1人は、12歳から喫煙をしていたと話した。

 東南アジア・大洋州各国では、世界的なたばこの生産地であるインドネシアを筆頭に喫煙者が多く、学齢前からたばこを吸い始めたという子供も少なくない。

 麻薬対策には厳しい東南アジア各国だが、たばこは生産性が高く農家にとっては重要な作物だけに、生産を制限するわけにもいかない。マレーシアのたばこ増税も、子供の喫煙を防ぐための対策の一環だったはずだが、違法たばこの増加で、すっかり裏目に出た格好だ。(編集委員 宮野弘之)

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