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【喫煙を考える】事業主の受動喫煙対策は「義務」か「努力義務」か 厚労省の「改正安衛法案」

【喫煙を考える】事業主の受動喫煙対策は「義務」か「努力義務」か 厚労省の「改正安衛法案」

http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20140326/dms1403261206002-n1.htm

3.26

 山形県が2月、受動喫煙防止対策の枠組みづくりに動き出すことを決めた。その他の自治体も、たばこ規制に対する動きが活発化しつつある。

 2010年、全国に先駆け受動喫煙防止条例を施行した神奈川県は、5年目を迎える今年4月以降も「改正・廃止の必要なし」と現状維持を確定した。広島県は昨年10月、たばこ対策のあり方について幅広い視野から意見を求める「広島県たばこ対策懇話会」を設置。3月までに5回の会合を持ち、春以降に県としての対策を取りまとめていく。

 そうした中、厚生労働省は職場での受動喫煙を防ぐため、事業主の努力義務を盛り込んだ「労働安全衛生法の一部を改正する法律案」(改正安衛法案)をまとめ、3月13日、国会に提出した。同法をめぐっては、2年前、「全面禁煙、または喫煙室設置を事業主に義務付ける」という改正案が出され、「あまりに事業主の現状が分かっていない」という意見が多かったため、廃案になった。

 今回の改正法案はその点を配慮したこともあってか、審議していた労働政策審議会安全衛生分科会は厚労相に対し「おおむね妥当と認める」と答申し、国会提出に至った。

 廃案になった前回法案では義務化の方向であったが、今改正法案では「事業者の実情に応じ、適切な措置を講ずるよう努めるものとする」と、「努力義務」に修正された。一見、後退ともとれるが、単純にそうも言い切れない。

 注意すべきポイントは、前回の法案にあった「飲食店などは、当分の間たばこ煙を一定の濃度以下に保つ、又は一定量以上の換気を行うことでも可とする」という業種配慮の条文がなくなり、新たに「受動喫煙防止対策に取り組む事業者に対し、国は喫煙専用室の設置の促進などの必要な援助に努める」が加わったこと。これで本当に“事業者の実情”に合った内容となるのだろうか。

 そもそも厚労省は2012年の労働者健康状況調査で、「受動喫煙防止対策に取り組んでいる事業所は81・8%(07年は75・5%)で、50人以上の事業所は9割を超えている」と、事業者の自主的な対策が進んでいることを指摘している。そうしたことが前提にあるなら、まだまだこの改正法案には見直しの余地があるのではないか。 (明日へ続く)

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