渡辺文学さん 「分煙」という言葉を生みだした活動家
渡辺文学さん 「分煙」という言葉を生みだした活動家
http://apital.asahi.com/article/story/2014100200009.html
2014年10月 6日
30年前に「分煙」という言葉を生みだし、世に問うた。だが、分煙では「不十分」。目指すのは、たばこのない「無煙社会」だ。
もともとは公害や日照権を追う環境活動家。1日60本のたばこを吸いながら大気汚染を論じていた。40歳になる前、「喫煙は身近な環境問題」と気づき禁煙した。
1978年、嫌煙権を掲げる市民団体に参加した。当時、新幹線の禁煙車はこだまに1両だけ。男性の7割超が喫煙者だった。禁煙を公の場で言うこと自体、空気を乱す変わり者と煙たがられた。
禁煙活動を始めることに当初、妻(71)は「食べていけない」と大反対したが、やめなかった。社会は禁煙に向かっていると確信していたからだ。
04年にはタクシーの全面禁煙を求めて、運転手らと訴訟を起こした。「全面禁煙化が望ましい」と判決が出ると、禁煙タクシーが広まるのを目の当たりにした。
訴訟の傍聴記などを載せ、編集長を務める月刊誌「禁煙ジャーナル」は発刊から25周年を迎えた。「日本でたばこ問題だけで食べている唯一の人間」と自認する。
全国の自治体に受動喫煙防止条例の制定を求める行脚を3年前から続ける。今夏、東京都の舛添要一知事は20年の東京五輪を念頭に同条例の制定に意欲を示した。「押すボタンが正しければ、社会は変わっていく」と信じている。
(朝日新聞 2014年10月2日掲載)
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