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児童労働を無くす闘い、ノーベル平和賞が後押し

児童労働を無くす闘い、ノーベル平和賞が後押し
http://www.hrw.org/ja/news/2014/10/10-0

活動家の受賞で今後の課題が浮き彫りに
2014年10月10日

(ニューヨーク)— インドで子どもの権利保護を訴えるカイラシュ・サティヤルティ氏(60歳)のノーベル平和賞受賞は、児童労働をなくすための厳しい闘いが認められた結果であり、世界中でこの困難に立ち向かう呼びかけとして受けとめられるべきだ、とヒューマン・ライツ・ウォッチは本日述べた。サティヤルティ氏はインドをはじめとする世界各地における最悪な形態の児童労働に反対する運動を立ち上げた。そして児童労働なき倫理的経営を企業に推奨する活動を率いてきた。

サティヤルティ氏は今回、パキスタン出身のマララ・ユスフザイ氏と平和賞を同時受賞した。ユスフザイ氏はすべての子ども、特に少女たちが、差別や暴力、恐怖にさらされることなく通学し、質の高い教育を受ける権利を粘り強く訴えている。

サティヤルティ氏は子どもを強制労働から解放するために、1983年に草の根団体「子どもを救え運動(BBA)」を設立した。インドでは経済的な理由から、貧しく周縁化された人びとがささいなローンの肩代わり(債務労働者)として子どもを差し出したり、子どもが強制的に家族と一緒に働かされたりしている。こうした子どもたちは通常、低賃金での長時間労働といった最悪の労働形態で雇用されており、暴言や身体的虐待、はては性的虐待に対しぜい弱である。サティヤルティ氏はほかのNGOと協力して、このような強制労働に従事する子どもたちを特定・救出し、社会復帰を支援することに、活動の焦点を当てている。

ヒューマン・ライツ・ウォッチの子どもの権利局局長ザマ・コースンネフは、「カイラシュ・サティヤルティ氏はこれまで、最悪な形態の児童労働に反対する運動の手を決して緩めず、多くの子どもたちによりよき人生の機会を与えてきた」と指摘する。「マララ・ユスフザイ氏とサティヤルティ氏のノーベル賞受賞は、就学しているいないにかかわらず、子どもを保護することの重要性に光を当てるものだ。」

2000年以来、世界の児童労働者数は3分の2にまで減少した。しかし、国際労働機関(ILO)によれば、1億6,800万人にものぼる数の子どもがいまだ労働に従事している。その半数以上にあたる8,500万人の仕事は有害危険なもので、インドでも何百万人もの子どもたちが有害危険なものも含んだ労働に従事している。仕事先は農場やレンガ窯、絹織り産業、花火製造業、家事労働などが主。2013年10月にブラジルで開催された児童労働をめぐる国際労働機関 (ILO)の国際会合で、サティヤルティ氏は「単なる数字ではありません。これらの数字には顔があり名前がある。そして一人ひとりがかけがえのない存在です」と述べた。

国際法は15歳未満、あるいは発展途上国の一部状況下では14歳未満のすべての子どもの労働を禁じている。有害危険な労働ほか、最悪な形態の児童労働の場合は18歳未満だ。インド国内法も、家事労働を含めた有害危険な仕事に関し、子どもの雇用を禁じている。2012年には14歳未満のすべての児童労働と、18歳未満の有害危険な労働を禁ずる法案がインド議会に提出されたが、いまだ採択されていない。

ノーベル平和賞の授与にあたって委員会は、次のように述べて子どもの権利に関する国際条約の発展に寄与したサティヤルティ氏の功績を称えた。「ガンジーの伝統を受け継ぎ、カイラシュ・サティヤルティ氏は偉大なる勇気をもって、平和的なあらゆるかたちの抗議デモを率いてきた。金銭的な利益のために重大な搾取の犠牲となっている子どもたちに光を当てたのだ。」

自身の団体「南アジア子ども奴隷解放連合(SACCS)」を通じ、サティヤルティ氏は消費者不買行動を組織し、児童労働を用いるメーカーの商品ボイコットのため効果的に訴えてきた。また主な活動のひとつに、子どもたちが尊重される村づくりがある。そこでは子どもたちがよりよい教育機会を持ち、自治機関を組織して村の代表者たちと子どもをめぐる問題を協議している。

今回のサティヤルティ氏の受賞で、インドの野心的な「無償義務教育法」における理想と現実のずれに注目が集まるだろう。同法は14歳までのすべての子どもに無料の義務教育を保障するもので、2009年の施行以来、入学者数は急激に増加した。が、中途退学の防止が現状では深刻な課題となっている。抑圧されたカーストや少数派グループ出身の子どもの多くが学校を辞めて、労働に戻ってしまうのである。こうした子どもたちが学校で差別を経験することも、原因の一部となっている。

世界各地でヒューマン・ライツ・ウォッチが行ってきた調査結果から、児童労働は子どもの健康を損ない、教育を妨げ、貧困を永続させることが明らかになっている。たとえば米国のたばこ農場で働く子どもはニコチンと有毒な農薬にさらされ、マリやタンザニアの鉱山で働く子どもは鉱石から金をとりだすために、時とし死も招く水銀を使っている。そして世界には、家事労働に従事する子どもが推定で約1,500万人もいる。子どもたちはしばしば低賃金で長時間労働を強いられ、人身売買や強制労働、身体的・性的虐待に対し特にぜい弱だ。

前出のコースンネフ局長は、「児童労働をめぐる国際的な行動の歩みは遅く、最悪な形態の児童労働に終止符を打つ試みも遅々として進んでいない」と指摘する。「2人の平和賞同時受賞に、児童労働反対をめぐる世界規模の運動が続くべきだ。そこには、初等教育を完全に無料にすること、最も貧しい子どもの出席率を改善する社会保護制度を構築すること、積極的に児童労働法を施行することが含まれるべきである。」

カイラシュ・サティヤルティ氏はこれまで、最悪な形態の児童労働に反対する運動の手を決して緩めず、多くの子どもたちによりよき人生の機会を与えてきた。マララ・ユスフザイ氏とサティヤルティ氏のノーベル賞受賞は、就学しているいないにかかわらず、子どもを保護することの重要性に光を当てるものだ。       

ザマ・コースンネフ、子どもの権利局 局長

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