たばこをやめるには、まず思い込み?
たばこをやめるには、まず思い込み?吸った気になるだけで満足になるか
効果につながる「ニコチンがあるはず」
2015年3月15日 6:00 AM
http://www.mededge.jp/a/resp/10234
「思い込み」が、薬の効果を操ってしまうという可能性がにわかに注目されている。
例えば、たばこを吸うと、気分が上がってくる。ここにも関係はある。
「ニコチンがあるはず」と思うだけで、実は満足しているかもしれないという報告が出てくる。
ニコチンと思い込み
英国ロンドンのユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)の研究チームが米国科学アカデミー紀要2015年2月24日号に発表した。
研究グループは、たばこを吸ったときにニコチンがあるか、ないか、事前の思い込みが、その後の効果にどう影響するかを調べている。
研究グループは、24人の喫煙者を集めて、ニコチンの入ったたばこ、ニコチンの入っていないたばこを吸ってもらった。それぞれの場合について、「ニコチンが入っている」と伝える場合と、「ニコチンは入っていない」と伝える場合とに分ける。その後に脳の活動にどのような変化が起きてくるか、脳の活動を見ることができるfMRI(機能的磁気共鳴画像診断装置)という方法で調べた。
思い込みが効果を左右
結果として、思い込みが実際の効果に影響していると分かった。
中でも「たばこにニコチンが入っていない」という思い込みが、「ニコチンが入っている」という思い込みよりも影響は大きかった。「ニコチンが入っていないはず」という思い込みがあると、たとえニコチンが入っているたばこを吸っても効果が出にくいわけだ。
脳の反応としては、脳の内部にある「中脳辺縁(ちゅうのうへんえん)ドーパミン系」という場所が関係していた。中脳辺縁ドーパミン系に関係した「線条体(せんじょうたい)」という場所の神経の反応を弱くするというものだ。
「ニコチンが入っている」という思い込みがあれば、ニコチンという中毒物質がない状態も乗り越えられる可能性があるわけ。
思い込みをうまく操ることができれば、精神の健康問題、中毒の解決に幅広くつながる可能性がある。
ニセ薬の効果も?
精神や神経の分野では、思い込みの効果についての報告がほかにも出ている。パーキンソン病でニセ薬でも薬という思い込みによって効果が出てくるという報告があったばかり(ニセ薬でパーキンソン病が改善、脳の働きを強化する効果を確認を参照)。
さらに、高い薬であるほど効果が高いといった報告も出ている(「高い薬」の期待値がパーキンソン病の症状改善に効く、ニセ薬効果があらためて確認されるを参照)。
思い込みの効果をうまく使おうという動きはほかの分野でも広がってくるのかもしれない。
文献情報
X. Gu et al. Belief about nicotine selectively modulates value and reward prediction error signals in smokers. PNAS. 2015;112:
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