歩きたばこダメ、仙台市にも条例 市議会が骨子案、罰則は見送り
歩きたばこダメ、仙台市にも条例 市議会が骨子案、罰則は見送り
http://apital.asahi.com/article/local/2015041800015.html?iref=comtop_btm
2015年4月18日
歩きたばこをなくそうと、仙台市議会は「市歩行喫煙等の防止に関わる条例(仮称)」の骨子案をまとめた。6月定例会での条例案提出をめざすが、罰則は設けない方針だ。政令指定市では最後の制定になり、専門家からは取り組みの遅さを指摘する声も上がる。
骨子案によると、たばこの火によって他人の身体などに被害を与えないようにするため、重点地区に指定された場所では歩きながらの喫煙などをしないよう求める。罰則は設けず、努力義務とする。重点地区は、定禅寺通や東一番丁通など市中心部の「歩行禁煙モデルストリート」になる予定だ。
市が2003年に歩きたばこをやめるよう呼びかけるモデルストリートを設け、年々減ってきた。だが、完全になくすためには、市民のルールとしてさらに定着させる必要があると市議会は判断。7会派の議員で「歩行喫煙等防止条例検討会議」を立ち上げ、昨年12月から議論してきた。
罰則については「罰則を規定すれば、取り締まりのための人件費が相当かかり、費用対効果の点で適切でない」との理由で見送られた。検討会議の座長を務める公明党仙台市議団の鈴木広康議員(53)は「仙台市民は高いモラルがあり、罰則がなくても歩行喫煙の抑止効果はあると判断した」と話す。
07年4月に条例を施行した岡山市でも、路上喫煙制限区域を設定しているが、罰則はない。ただ、あまりにも路上喫煙がひどい場合は、特別区域に指定し直し、過料を徴収できる。市の担当者は「この規定があることで、路上・歩行喫煙の抑止につながっている」とする。
5歳の子どもがいる仙台市青葉区の30代の女性は「歩いて吸うたばこが子どもの目線に近づき、危ないと思うことが何度かあった。条例化はいいことだが、中身が伴わないと意味がないのでは」。
仙台駅近くのコンビニに置かれた灰皿の前でたばこを吸っていた50代の男性会社員は「歩きたばこは喫煙者としてのマナーを守らない最悪な行為。条例化には賛成」としつつも、「罰則規定がない中でどれだけ歩行喫煙が減るのだろうか」と首をかしげた。
■ほかの指定市制定ずみ 「認識甘い」指摘も
指定市のうち、仙台市以外の19市ではすでに、歩きたばこなどを禁じる条例をつくっている。
浜松市と福岡市、広島市は03年にいち早く、路上・歩行喫煙の禁止を盛り込んだ条例を施行した。福岡市の担当者は「15年ほど前から分煙の機運が高まり、02年に東京都千代田区が初めて路上喫煙への罰則適用条例を制定して注目された。その流れに乗って福岡でも条例化したと聞いている」と話す。
多くの指定市は05年から08年にかけて条例を施行しており、一番遅い相模原市でも12年だった。このうち17市では重点区域や制限区域を指定し、その場所で喫煙した人には、原則1千~2千円の過料を徴収すると定めている。
仙台市の担当者は「モデルストリートは10年以上前に設定されていて、他の都市の条例同様の効果があると思っている。決して喫煙問題への取り組みは遅れていない」と説明する。
だが、喫煙問題に詳しい東北大環境・安全推進センターの黒澤一教授(53)=産業医学=は、仙台市役所では先月までほぼすべての階に喫煙所があったことを挙げ、「市役所や市議会は、分煙への取り組みも遅かった。制度を決める側の喫煙に対する認識が甘く、やる気がないと思われても仕方ない」と指摘する。
(辻隆徳)
(朝日新聞 2015年4月18日掲載)
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