たばこを吸うとアルコール依存になりやすい
たばこを吸うとアルコール依存になりやすい
動物実験で検証
http://www.mededge.jp/a/resp/12780
2015年5月8日 10:00 PM
ニコチンを体に入れると、アルコール依存になりやすくなると分かった。
米スクリプス研究所のオリバー・ジョージ氏らの研究グループが、神経科学分野の専門誌、ニューロサイエンス誌において2015年4月14日に報告している。
ニコチンと神経細胞に関連
研究グループによると、たばこを吸う人は、吸わない人に比べて、アルコール依存症になるリスクが5倍から10倍高い。
いったいなぜだろうか。
研究グループはニコチンが飲酒に及ぼす影響をネズミで検証した。
ネズミは2つのグループに分けて、最初にどちらのグループにもアルコールを与える。人間でビール1、2杯分に相当する量を飲んだネズミには、酔った様子を見せる前に与えるのを止める。その上で、片方のグループにはアルコールの蒸気に触れさせ、もう片方のグループにはニコチンとアルコール蒸気の両方に触れるような環境に置いた。
すると、ニコチンに触れないグループでは、アルコール依存になるまでに2カ月だったのに対して、ニコチンに触れたグループではアルコール依存になるまでに3週間と半分以下に縮まった。
アルコールを自由に飲めるようにすると、アルコール依存になると、ビール6本に相当する量を勝手に飲む。
さらに、ネズミが断酒できるかを調べるため、アルコールと一緒にキニーネという苦い物質を与えた。ほとんどのマウスは苦味を嫌がるのに対して、ニコチンに触れていたグループではアルコールを飲み続けた。人間のアルコール依存と似る状態と考えられた。
「すき間」に入る
これまでの研究でニコチンが脳内で「ごほうび」を感じさせる神経細胞を活性化させ、たばこを吸い続ける行動につながると分かっている。同時にニコチンは脳内で「ストレス」を感じさせる神経細胞も活性化させるので気持ちを後ろ向きにする面もある。
アルコールは「すき間」に入り込む。
「ごほうび」の仕組みだけを残して、「ストレス」の仕組みを落ち着かせるためだ。
結局、アルコール依存を裂けるためには、ストレスを感じさせる神経細胞だけを抑える薬が必要だ。
たばこを吸いながらアルコールに浸っているとすればちょっと知っておいてもいいかもしれない。
文献情報
Olivier G et al. TSRI Scientists Find that Nicotine Use Increases Compulsive Alcohol Consumption. TSRI. 2015 Apr 14.
http://www.scripps.edu/news/press/2015/20150414george.html
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