たばこを吸っていると、双子を産みやすい、さらに遺伝子との関係も判明
たばこを吸っていると、双子を産みやすい、さらに遺伝子との関係も判明
双子は増えている遺伝子の一つにはがん抑制遺伝子も
2015年5月3日 11:30 PM
http://www.mededge.jp/a/resp/12524
たばこを吸っている女性は双子を産みやすいと分かった。またいくつかの遺伝的な条件次第でも双子以上の多胎になりやすいようだ。
たばこと遺伝の影響を検証
米サウスフロリダ大学のホン・ホァン氏らの研究グループが、生物学系の国際誌アメリカン・ジャーナル・オブ・ヒューマン・バイオロジー誌で2015年4月16日に報告している。
研究グループは、たばこや遺伝子が1人だけを生む単胎の妊娠、2人以上の多胎の妊娠とどのように関係するかを検証している。
遺伝子については、「一塩基多型(スニップ、SNP)」について調べている。人間の遺伝情報を保っているDNAは、30億ほどのATGCという4種類の塩基と呼ばれる分子のつながりから成り立っている。全員が同じ並び方ではなく、300~1000個に1個の割合でばらつきがある。この変化について「一塩基多型(SNP)という。
一塩基多型にはいわば番地が付いており、「rs」と「通し番号」の組み合わせで分類されている。
一塩基多型は一文字の変化であるにもかかわらず、体の特徴や病気のなりやすさにつながることがある。この変化と妊娠でできる子どもの人数との関係を調べることになる。
双子出産と発がんに何らかの関係?
その結果、たばこを吸っている場合に、双子以上の妊娠になる可能性が高くなると分かった。さらに、CYP19A、MDM4、MTHFR、TP53の遺伝子の一塩基多型にも関係が確認できた。
たばこについては、双子の赤ちゃんのお母さんがたばこを吸っていた場合が多かった。たばこのニコチンは一般的に不妊につながると考えられており、相反する結果となっている。ニコチンは女性ホルモンであるエストロゲン合成を妨げて、妊娠維持につながるゴナドトロピンを多く作らせる可能性がある。研究グループによると、たばこを吸うと妊娠に悪影響の及ぶ遺伝子型がある一方で、特定の遺伝子型の場合、双子を産みやすくするのかもしれないという。
一方で、がん抑制に関係するTP53の一塩基多型の条件によっては、双子になりにくいと分かった。研究グループは、多胎妊娠とがんのリスクについて関係があるかもしれないと指摘している。
文献情報
Huang H et al. Women who deliver twins are more likely to smoke and have high frequencies of specific SNPs: Results from a sample of African-American women who delivered preterm, low birth weight babies. Am J Hum Biol. 2015 Apr 16. [Epub ahead of print]
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