« たばこ包装に依存を生じさせる意図について表示必要-米高裁 | トップページ | タバコOKだったスタバ、いかに完全禁煙へ移行成功?「客を選ぶ」スゴい戦略 »

岸博幸氏に聞く都受動喫煙防止対策検討会 「委員構成に問題」「分煙を広める契機に」

岸博幸氏に聞く都受動喫煙防止対策検討会 「委員構成に問題」「分煙を広める契機に」

http://news.biglobe.ne.jp/domestic/0715/san_150715_4922966384.html

産経新聞7月15日(水)12時8分

 東京都の有識者会議「都受動喫煙防止対策検討会」(座長・安念潤司中央大大学院教授)が喫煙者と非喫煙者の溝の深さを象徴するように混乱のまま終了した。罰則付き条例の早期実現を求める条例推進派が、まとまりかけた提言案をひっくり返して期間延長をゴリ押し。年度またぎで5月29日に追加開催となった第6回の出席者は委員12人中、推進派の7人のみ。条例制定に一番慎重だった委員は任期延長を辞退し欠席した。

 最大の焦点だった条例制定については、提言案と同じように事実上見送られ、「2018年までに条例化の検討を行う」との表現にとどまった。一方、「受動喫煙防止のための明確なビジョンと対策を示す」「国に対して全国統一的な法律での規制を働きかける」ことを盛り込み、条例推進派にも配慮。安念座長は「委員の誰にも満足いかないものであると思う。対立が先鋭的な場で意見をとりまとめるには、不満足を均衡させるしかない」と疲れきった表情で述べた。

 ■医療関係者に偏った委員構成

 愛煙家としても知られる元経産省官僚で慶応大大学院教授の岸博幸氏は「委員の構成に問題があった」と事務局の人選ミスを混乱の原因に挙げる。検討会は2020年の東京五輪・パラリンピック開催に向け、屋内での喫煙のあり方を考えるために昨年10月に設置されたが、12人の委員のうち医療・医学関係者が9人を占めていた。

 「受動喫煙の問題が存在するのは事実ですから、これを検討するのは良いことです」と断った上で「正直言ってバカバカしい議論をしているなと感じていました」と呆れ気味に話す。「委員の大半が医療・医学の専門家で、観光業や飲食業の専門家はいない。東京五輪で来日観光客が増えることを意識していながら、おかしな話だ」と語気を強める。

 飲食、旅館、旅行業、医師会、消費者団体、主婦連合会など10団体から意見聴取が行われ、その半数以上が罰則付きの条例制定に慎重な立場を示したが、「聴取した意見を無視するのも採用するのも委員の胸先三寸です。意見聴取で呼んだことが免罪符にはなりません」と憤る。

 「医療関係者の主張にも傾聴に値する部分があると思います。しかし、外国人の喫煙者をまったく無視して、たばこの害悪だけを議論するのが“おもてなし”の議論ですか。委員の大半が一方に偏ってしまったらまともな議論はできません。無駄な検討会に税金を使ったことにもセンスが感じられない」

 当初提言を取りまとめて終了するはずだった第5回検討会が紛糾した際、安念座長は「禁煙派、アンチ禁煙派の議論は太平洋の両岸から射程300キロくらいの大砲を撃ってるというイメージ」と嘆息。喫煙者、非喫煙者の共生を模索する動きは見られなかった。

 ■「分煙」価値観、五輪契機に世界へ

 20年近く前から五輪開催が決定した都市が受動喫煙防止策で罰則付きの法令があったことを根拠に、条例推進派は「国際的に恥をばらまく」などと罰則付き条例化の早期制定を強く求めてきた。この意見に岸氏は異議を唱える。

 「世界の常識として屋内の喫煙規制は当然厳しいですよ。ただ屋外に関しては基本的に規制がない」と指摘。「あたかも過去の五輪では屋外も含めて全面禁煙したかのように伝わっている。実際には屋外は規制していないのに」と不信感を募らせる。

 2008年に五輪を開催した北京では、開催年に医療・教育施設での禁煙と官公庁・飲食店などでの分煙を定めた条例を制定。今年6月に職場など屋内での喫煙を全面的に禁止する世界的にも厳しい内容の条例が施行された。

 2022年の冬季五輪招致に向けた取り組みというが、早くも施行1カ月で「屋外喫煙が増えただけ」という批判が出たほか、中国のネットユーザーもさまざまな反応を示した。人気ミニブログ・微博(ウェイボー)では「厳しすぎて失敗する」という懐疑的な見方に加えて、「日本の喫煙マナーは素晴らしい」と予期しなかった声も上がった。

 「(日本の)飲食店や喫茶店には喫煙席と禁煙席があって、オフィスビルに喫煙ルームがある」「居酒屋やゲームセンターではたばこが吸える。その代わり路上喫煙する人が少ない」などと屋外禁煙、屋内分煙を軸にした日本独自の受動喫煙防止策を賞賛している。

 岸氏は「来日外国人の中心は中国人だろう。中国人の半数以上が喫煙者というデータもある。喫煙者にも配慮した形で受動喫煙防止対策を取り入れるべきだ」と憂慮。「路上でのポイ捨てが目立つ海外に比べて、日本の喫煙マナーは向上している。東京五輪を契機に分煙による受動喫煙防止策の価値観を世界に広げていこうというアプローチはなかったのか」と嘆いた。

 ■岸博幸(きし・ひろゆき)慶応大大学院デジタルメディア研究科教授。1986年、通産省(現経産省)入省。1995年、朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)出向。1998年、経産省に復職。2000年、内閣官房情報通信技術(IT)担当室グループリーダー。小泉政権下で経済財政政策担当相補佐官、金融担当相補佐官、経済財政政策担当相・郵政民営化担当相政務担当秘書官、総務相秘書官など歴任。2010年、エイベックス・グループ・ホールディングス顧問。一橋大卒。コロンビア大ビジネススクールに留学しMBAを取得。多くのテレビ番組でコメンテーターやパネラーを務めている。

|

« たばこ包装に依存を生じさせる意図について表示必要-米高裁 | トップページ | タバコOKだったスタバ、いかに完全禁煙へ移行成功?「客を選ぶ」スゴい戦略 »

受動喫煙対策」カテゴリの記事

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1106442/60772327

この記事へのトラックバック一覧です: 岸博幸氏に聞く都受動喫煙防止対策検討会 「委員構成に問題」「分煙を広める契機に」:

« たばこ包装に依存を生じさせる意図について表示必要-米高裁 | トップページ | タバコOKだったスタバ、いかに完全禁煙へ移行成功?「客を選ぶ」スゴい戦略 »