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たばこは「万病のもと」 喫煙との関連、解明進む

たばこは「万病のもと」 喫煙との関連、解明進む

膀胱がんにも影響、糖尿病リスク1.34倍

http://www.nikkei.com/article/DGXKZO90743440Q5A820C1NZBP01/

2015/8/20付

 たばこは健康によくない――。当たり前のようにいわれていることだが、実際にどんな悪影響があるのだろう。がんや糖尿病、精神疾患など様々な病気との関連性が、最近の研究でより詳しく分かってきた。禁煙を三日坊主で終わらせないためには、たばこの害を科学的に知っておくことも有効だ。

 国立がん研究センターのがん予防・検診研究センター予防研究部のメンバーが中心となり、がんと生活習慣などとの関連性が調べられている。日本人を対象とした疫学研究の充実などを踏まえ、7月に喫煙とがんの関連性を約10年ぶりに見直した。

 今回は、膀胱(ぼうこう)がんと、口や喉などの頭頸(とうけい)部がんについて喫煙との関連性を初めて「確実」と指定した。これまで膀胱がんは関係ないと思われがちだったが、たばこの煙に含まれる発がん物質は尿に含まれ排出されるので、膀胱の粘膜は発がん物質との接触機会が多い。肝臓がんは従来の「ほぼ確実」から「確実」に引き上げた。

 この結果、部位別では肺がんなども加えて8種類のがんでリスクの上昇が確実となった。予防研究部の笹月静部長は「喫煙者が何らかのがんにかかるリスクは非喫煙者の1.5~1.6倍」と話す。

 がんだけではない。東京大などの研究成果では、喫煙のほか「高血圧」「運動不足」「塩分の過剰摂取」など、16の危険因子と日本人の死亡の関連を調べたところ、喫煙が原因とみられる死亡者が最も多かった。

 糖尿病のリスクも高める。交感神経を刺激して血糖を上昇させるのに加え、体内のインスリンの働きを妨げる作用があるためだ。喫煙と糖尿病を巡っては、7月に米科学誌に掲載された論文が医師らの間で話題を呼んでいる。

 論文を発表したのは、国立国際医療研究センターを中心とする「J―ECOH」の研究チームだ。喫煙と糖尿病の関連性について、会社員5万3930人のデータを解析した。喫煙者の糖尿病リスクは非喫煙者の1.34倍だった。本数も影響を与え、1日当たり10本以下だと1.23倍だが、同21本以上だと1.51倍とリスクが高まった。

 禁煙年数と糖尿病の関係では、禁煙年数が5年未満だと糖尿病のリスクは非喫煙者の1.36倍で、リスクの低下がみられなかった。だが、5~9年で1.23倍、10年以上禁煙すると1.02倍と下がった。非喫煙者と同等のリスクになるには10年以上かかる。

 国立国際医療研究センター疫学予防研究部の溝上哲也部長は「禁煙5年未満で効果がみられないのは、喫煙の影響がしばらく残るからではないか」と分析する。禁煙後しばらくの間は注意が必要だ。

 J―ECOHは喫煙とうつ病など精神疾患による1カ月以上の長期病休との関連も調べている。データが多く集まった男性では、喫煙と精神疾患による長期病休との関連が認められた。喫煙者のリスクは非喫煙者の1.2倍だった。このほか認知症のリスクになるとの研究結果もある。

 こうした科学的な成果は、論文のままだと一般人にはとっつきにくい。国内外の論文を医療従事者以外も読みやすいようにと、日本禁煙科学会が要約をインターネット(http://www.jascs.jp/)で公表しており、愛煙家には参考になりそうだ。

 要約文の作成に携わり、数多くの論文を読んできたさいたま市立病院の内科科長、舘野博喜医師が驚いたのが、禁煙時の体重増加について調べた海外の研究成果だ。

 禁煙後に増えた体重の4分の1は筋肉など脂肪以外の増加で、健康面でプラス面もある。体重増加は禁煙を拒む理由の一つとされるが、舘野医師は「プラスの効果が分かれば、体重増加も前向きにとらえられるのでは」と話す。

 健康を意識して本数を減らしたり、ニコチンやタールの少ないたばこを吸ったりしても、自分で考えるほどの効果は得られない。舘野医師は「たばこは『ゼロ』でなければならない」としている。

◇            ◇

■日本の喫煙率 世界では高め 男性32%

 厚生労働省の国民健康・栄養調査によると、2013年の喫煙率は19.3%。10年前と比べると8.4ポイント減少した。性別でみると男性が32.2%で、女性は8.2%だった。

 日本の喫煙率は低下傾向にあるとはいえ、海外と比べると高い。経済協力開発機構(OECD)によると、2012年のデータで日本の20.7%に対し、英国は20%、カナダは16.1%、米国は14.2%。特に日本は男性の喫煙率が高く、日本の34.1%に対し、英国は22%、カナダは18.7%、米国は15.9%と開きがある。

 禁煙は早ければ早いほど効果は出る。英国の研究では、25~34歳で禁煙すると、喫煙により失う寿命10年分を取り戻せる可能性があるとしている。これが35~44歳の禁煙だと9年、45~54歳だと6年、55~64歳だと3年と取り戻せる寿命が短くなる。国内でも35歳までの禁煙が望ましいとの報告がなされている。

(辻征弥)

[日本経済新聞夕刊2015年8月20日付]

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