たばこの依存性は麻薬とほぼ同じ!そのツラい禁煙をラクに変える新発見とは
たばこの依存性は麻薬とほぼ同じ!そのツラい禁煙をラクに変える新発見とは
https://www.circl.jp/2015/09/19/4314/
WRITER: Akaishi kaoru
たばこが体に良くないことは、たばこを吸っている人も知っているだろう。ところが、たばこに含まれるニコチンは麻薬と同じくらい依存性がある薬物成分で、一度吸い始めるとやめるのはとても難しいとされている(※1)。
実は最近、このニコチンを分解する酵素が発見された。将来、禁煙を助ける薬が開発できるかもしれないという。
たばこの害とは 200種類以上の有害物質が含まれる
たばこの煙には4,000種類以上もの化学物質が含まれおり、そのうち200以上には発がん性など有害な作用があるという(※2)。
たばことの関係が疑われる病気には、肺がんのような「がん」のほか、狭心症・心筋梗塞などのような心臓の病気、胃・十二指腸潰瘍などの消化器系の病気、慢性気管支炎などの呼吸器の病気があり、自分が吸わなくても他人のたばこの煙を吸い込むこと(受動喫煙)でも影響があることが分かっている。
たばこはなぜやめられないのか そのワケは
禁煙するとこれらの病気になるリスクを減らすことができるのだが、たばこをやめるのは簡単ではない。
たばこを吸うと血液中のニコチン濃度が上がり、脳内でドーパミンという快楽に関わる物質が分泌されて爽快な気分になる(※3)。ところが、約30分たって血液中のニコチンの濃度が減少してくると、イライラや不快感、落ち着かないなどの禁断症状が現れ、再びたばこを吸ってしまう。
禁煙が成功するかどうかは、この禁断症状を乗り越えられるかどうかで決まるといってよいだろう。
ニコチンが完全に体から抜けるのは禁煙してから48~72時間後といわれており、このころが禁断症状のピークとなる(※4)。
禁煙補助の薬を使用しても、成功率は低いまま
ニコチンを含んだ皮膚に貼る薬やガムを使用すると、イライラなどのニコチン切れの症状を和らげることができ、また、たばこを吸いたい気持ちを抑える薬もある。
しかし、アメリカの統計によると、これらの禁煙を助ける薬などを使っても禁煙の成功率は低く、禁煙が1年間継続できたのは15~30%にすぎないという。
ニコチンを分解する酵素でたばこが止められるか
アメリカのスクリプス研究所は、既にたばこなどを分解することが知られているシュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)という細菌の酵素「NicA2」を使用した実験を行った。血液中の成分である血清にたばこ1本分のニコチンを混ぜ、そこにこの酵素を加えたところ、ニコチンが分解され始め、半減期が2-3時間から9-15分になった(※5)。
この酵素が禁煙を助ける薬として使用できるかどうかを調べるため、安定性を試す実験も行われたが、人の血清の中で3日間はこの酵素が安定した状態を保っており、また、マウスに酵素を与えたところ明らかな副作用は見られなかったことから、人の薬として開発できる可能性があるという。
体内のニコチンを早く分解することができれば、つらい禁断症状を乗り越えやすくなるだろう。現在はまだ開発の初期段階というが、たばこを吸いたい気持ちを抑える画期的な方法としてさらなる研究が進むことが期待される。
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