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「18歳飲酒、喫煙」にノー! 「低年齢化は健康に悪影響」

「18歳飲酒、喫煙」にノー! 「低年齢化は健康に悪影響」

http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/CK2015092502000220.html

2015年9月25日

 来年の参院選から選挙権を持つ年齢が十八歳以上に引き下げられるのに合わせ、飲酒や喫煙も十八歳から認めようという案が自民党内から出された。世論の猛反発を受け、同党はいったん先送りした格好だが、医療関係者は「低年齢化は健康への悪影響が明らか。世界の流れとも逆行する」と厳しく指摘する。 (山本真嗣、林勝)

 「金がなくなると、コンビニで万引して飲んでいた。悪いと分かっていても、やめられなかった」

 九月中旬の夜、愛知県内で開かれたアルコール依存症患者らの自助団体「断酒会」の例会。契約社員の四十代男性が、会員約四十人の前で自らの飲酒体験を語った。

 飲み始めたのは、大学に入学した十八歳。サークルのコンパで先輩から勧められ、毎日のようにビールをイッキ飲みした。「毎日大瓶五~六本。ふわーっと気持ちが良くてのめり込んだ」

 就職後は職場の人間関係に悩み、酒量が増加。二十八歳でうつ病を発症し、処方された抗うつ剤と一緒に酒を飲んだ。仕事は無断欠勤が続いて辞めた。三十二歳のときに飲酒運転で摘発され、精神科病院で依存症と診断された。

 家族の強い勧めで、断酒会に入会。仲間と体験を語り合いながら五年間、酒を断っているが、「飲みたいという気持ちが頭から離れない」。断酒会会員の飲酒開始年齢は十代が多く、依存症が完治せず三十年以上通い続ける人もいる。

 アルコール問題に詳しい刈谷病院(愛知県刈谷市)副院長の菅沼直樹医師(58)は「依存症は、飲み始める年齢が早いほど発症しやすく、治療が難しい」と指摘。十五歳以下から飲酒を始めた場合、二十一歳以上の場合よりも三倍以上、依存症になる確率が上がるというデータもある。

 アルコール薬物問題全国市民協会(東京都中央区)の今成知美代表(59)によると、二〇〇一年以降、飲酒が原因で死亡した未成年の大学生は少なくとも十三人に上る。米国では一九六〇年代に、多くの州で飲酒年齢を二十一歳から十八歳に引き下げたが、飲酒運転の死亡事故が増加し、数年後に二十一歳に戻した。

 「飲酒年齢を引き下げれば健康リスクだけでなく、事故や暴力などの社会問題も深刻化する」と話す。

◆たばこ対策「世界の流れに逆行」

 青少年期にたばこを吸い始めると、成人後よりも、健康に悪影響を与えるリスクが高まる。国立がん研究センター研究所(東京都中央区)疫学部長だった故平山雄氏は、六〇~八〇年代にかけ、喫煙者の大規模調査を実施した。喫煙開始が三十歳以上では、非喫煙者に比べて肺がんによる死亡率は約一・七倍に増加。これが十五~十九歳と低年齢化すると五・五倍に跳ね上がることを示した。

 愛知県がんセンター研究所の田中英夫疫学・予防部長は「平山さんの研究成果が、世界のたばこ対策の推進に大きな影響を与えた。同じ日本から、喫煙の低年齢化を助長する政策が出てくるのは世界の恥」と嘆く。

 日本は二〇〇四年、喫煙による健康被害を食い止めるたばこ規制枠組み条約を批准。条約文では「喫煙の一層の低年齢化を深く憂慮する」と強調している。田中部長は「十八歳での喫煙解禁は、国民の健康をないがしろにする、世界の流れにも逆行する行為」と断じる。

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