安心してお産を迎えるために
安心してお産を迎えるために
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「安心してお産を迎えるために」をテーマに、医療ルネサンスつくばフォーラムが9月12日、茨城県つくば市のつくば国際会議場で開かれた。産婦人科医の宋美玄ソンミヒョンさんが「妊娠 出産 産後ケア いま知っておきたいこと」と題して基調講演した。その後、筑波大学教授の濱田洋実さん、同大病院看護師長の本多裕子さんが登壇。産科医不足対策として同病院内に設けた、助産師中心でお産をサポートする「バースセンター」の取り組みを紹介した後、3氏で助産師による健診や母乳育児などについて話し合った。(コーディネーター 読売新聞東京本社医療部長・吉田清久)
産婦人科医・医学博士 宋美玄さん
ソンミヒョン 39歳。2001年、大阪大学医学部卒業。川崎医科大学講師などを経て、11年から東京都内の病院で勤務。 |
主催 読売新聞社
後援 茨城県、茨城県医師会、つくば市医師会
■基調講演
ここ数年、「妊活」という言葉が知られるようになりました。妊娠しやすい体、あるいは妊娠した際にトラブルの少ない体をつくるために、今からできることを挙げてみます。
まずは標準体重の維持です。「エストロゲン」という女性ホルモンは、卵巣から出ますが、脂肪からもエストロゲンが出ます。痩せすぎでも太りすぎでも排卵はうまくいきません。痩せすぎの人はある程度、脂肪をつけた方がいいですね。基礎体温を記録し自分の体について知ることも大切です。健康診断や婦人科検診を定期的に受け、臓器を老化させるたばこは控えましょう。
風疹は赤ちゃんに先天的な障害をもたらすので、ワクチンを打ってください。目や耳に障害が残る先天性風疹症候群の赤ちゃんがこの2、3年で40人以上、生まれています。
レバーや緑色野菜などに含まれるビタミンB群の一種「葉酸」は、赤ちゃんの様々な病気を防ぐ働きがあります。妊娠がわかってからでは少し遅くて、妊娠2か月以上前からとるといいと言われています。1日0・4ミリ・グラムが目安です。日常生活でそれだけとるのは非常に難しいので、サプリメントがお薦めです。
年齢にもよりますが、子どもを望むなら半年から1年たっても妊娠しない場合は検査を受けてください。不妊の原因は男女半々くらいで、自然妊娠が難しければ不妊治療をすることになります。体外受精などは高額です。自治体の支援も調べてみましょう。
妊娠がわかったら、真っ先に子宮外妊娠ではないことを確かめます。早めに産む施設を決め、かかりつけ医を持ってください。つわりの時期は、食べられるものは何でも食べてください。ただ、危険な寄生虫やウイルス感染を避けるため、生肉や生チーズを避ける、家族とスプーンを共有しない、おむつ替えは手袋を使うなどしてください。
生まれる前に、一度は赤ちゃんの様々な臓器を調べてもらうといいです。私は今2回目の妊娠中(妊娠8か月)ですが、出生前検査として、母体血清マーカーと超音波検査を受けました。
出産後、お母さんは心に余裕を持って、早く体を元に戻すことが大事です。家族が家事をしてくれて、母親がなるべくごろごろしていられる環境が望ましい。母乳育児のやり方が産後うつにつながることが多いと思います。人によって考え方が大きく違うので、どうしたらよいのかをあらかじめ医者や看護師に相談できるといいですね。
妊娠した後は周りの人がいろいろ口を出しますが、根拠のないことには耳を傾けず、医療機関や信頼できる本から知識を得てください。妊娠・出産は勉強や仕事とは違います。思い通りにいかなかった時に努力が足りなかったと考える必要はありません。
(2015年10月22日 読売新聞)
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