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たばこ対策、保険?自己責任?

たばこ対策、保険?自己責任?

「ニコチン依存症管理料」の要件緩和で意見対立      

2015年10月21日 橋本佳子(m3.com編集長)

http://www.m3.com/open/iryoIshin/article/368116/?category=report

 厚生労働省は、10月21日の中央社会保険医療協議会総会(会長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)に対し、たばこ対策である「ニコチン依存症管理料」の対象を若年層に広げるために算定要件緩和を提案したが、診療側と支払側で大きく意見が対立した(資料は、厚労省はホームページ)。診療側は厚労省の提案を支持、一方、支払側は要件緩和で、診療報酬での評価を予防的な行為にも広げることにつながりかねないことから反対した。

 厚労省は、要件緩和に伴うたばこ対策の年間医療費の抑制効果が、現状の約7.6億円から約132.5億円に拡大するとの試算も提示。しかし、支払側は医療費抑制効果よりも、「ニコチン依存症管理料」の成功率そのものが問題であるとするなど、最後まで議論は平行線をたどった。データを基に、改めて議論することになる見通し。

 20歳代、「BI200未満」が82%

 「ニコチン依存症管理料」は、1日の喫煙本数に、喫煙年数を乗じて得た「ブリンクマン(BI)」が200以上を算定要件としている。20歳代のニコチン依存症患者82%は、喫煙年数が短いことが影響して、「BI200未満」だ。「BI200以上」という算定要件を緩和するのが、厚労省案。

 診療側からは、「現実には、高校生が禁煙外来に来ることもある。20歳未満も対象にすべき」(日本医師会常任理事の鈴木邦彦氏)、「BIという要件自体をなくした方がいい、という意見もある。重症化予防という観点で対策を講じていかなければいけない」(日医常任理事の松本純一氏)など、要件緩和を支持する意見が相次いだ。

 これに対し、健康保険組合連合会副会長の白川修二氏は、前回、前々回の診療報酬改定でも、「ニコチン依存症管理料」をめぐる議論があったとし、「この手の話を出すのであれば、その効果をきちんと出し、データを基に議論すべき。若年者の喫煙が増えているから、という話ではない。たばこ対策は基本的には自己責任。保険料を使って、(禁煙対策を)診療報酬で評価するのは、いかがなものか」と述べ、「今のところは、慎重にやるべき、というか、むしろ反対」と述べた。

 厚労省によると、2009年度に3417人を対象に実施した調査では、全5回の治療を終えた人は35.5%で、終了9カ月後にも禁煙していたのは49.1%だった。一方、5回の治療を終えることができなかった人は、禁煙が続かないという割合が多かった。

 「たばこ対策は自己責任」に反論したのは、日本医師会副会長の中川俊男氏。たばこの害は、本人だけでなく、受動喫煙の害もあるとし、結果としてたばこが原因の疾病により医療費高騰にもつながるため、禁煙対策の重要性を強調。「失敗しても何度でも、禁煙に取り組めばいい。未成年の喫煙に対しても、毅然として禁煙を主張していくべき」(中川氏)。

 これに対し、白川氏は、「禁煙対策を進めることに異論はないが、保険を使うかどうかが問題。疾病に対して診療報酬で評価するのが、我が国の保険。自己責任で禁煙する人もいる。特定の人だけドクターの治療を受けないと治らないという。しかも、保険財政が厳しい中で、なぜ保険を使うのか。『自分で治せるものは、自分で治す』のが、今の保険財政の流れ」と反論。

 しかし、中川氏も、「ニコチン依存症は疾病であることは間違いない。自己責任で止めた人もいるが、どうしても止められない人を、保険の対象とするのは、無理筋なのか。将来の医療費を考える上でも、むしろ推奨すべき」と譲らなかった。

 その後も診療側と支払側の応酬が続き、意見を求められた田辺会長は、「ニコチン依存症という疾病類型があるのだから、それには保険適用にすべき。予防対策まで保険で診る必要はない。今の基準は、喫煙年数が関係している。それが少ないにもかかわらず、ニコチン依存症になっているというなら、合意ができる範囲でその基準と、(疾病と予防の)線引きを考えていくべき」との考えを述べた。

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