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喫煙、赤ちゃんの体重に影響

喫煙、赤ちゃんの体重に影響

http://apital.asahi.com/article/shohousen/2015100800019.html

岸玲子 (きし・れいこ)

2015年10月13日

 北海道が喫煙率全国1位ということは、ご存じの方も多いかもしれない。特に、女性の喫煙率が高いことが道内の特徴だ。

 女性の喫煙が多いのはなぜなのか。開拓の歴史が浅く、地域社会の中でしがらみが少ないからとも言われる。だが、はっきりした理由は分かっていない。真実がどうであれ、対策が遅れていることは間違いない。

 そこで私たちの研究室では、たばこなどの環境化学物質が及ぼす赤ちゃんへの影響について調べている。このほど、その結果をまとめた。

 札幌市の妊婦293人を対象に、2002~05年に生まれた赤ちゃんを調べた。喫煙をしていない妊婦の赤ちゃんの平均体重は3077グラムだったが、喫煙している妊婦の赤ちゃんの体重は平均で2929グラム。全体の平均より135グラム少なかった。

 「大した体重差ではないのでは」と疑問に思う人もいるかもしれない。研究には続きがある。たばこに含まれる化学物質の「多環芳香族炭化水素」。これに対する感受性が高い遺伝子を持つ妊婦に絞って赤ちゃんの体重を調べると、全体の平均より315グラムも体重が少ないという結果が出た。赤ちゃんにとって、通常より1割も体重が少ないのは大きな差である。

 自分自身がどの化学物質に感受性が高い遺伝子を持つのか、私たちは普通知らない。「これぐらいのたばこ、大丈夫」と思っていても、気づかぬうちにほかの人よりも大きな影響を受けている可能性もあるのだ。

 自身は吸っていないが、妊娠中に職場や家庭で受動喫煙をした経験のある妊婦1336人を対象に、生まれた赤ちゃんの体重との関係性も調べた。受動喫煙をした妊婦から生まれた赤ちゃんは、しなかった妊婦の赤ちゃんより、78~154グラム体重が少ないことが分かった。受動喫煙は、社会の理解が深まり対策が進めば防げることだと思うと、残念な結果だ。

 私たちのこうした研究は、協力してくれる方々がいてこそできる。環境省も2011年から、環境が人間の健康にもたらす影響を探る大規模な「エコチル調査」を始めている。全国10万組の子どもたちとその両親に協力してもらい、たばこやハウスダストなどに含まれる化学物質が子どもにどう影響するのか、13歳になるまで追跡調査をしていく。様々な成果が明らかになり、より良い社会の発展に寄与することを願っている。

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