長年の喫煙でがん、たばこ会社に訴訟で勝てる?
長年の喫煙でがん、たばこ会社に訴訟で勝てる?
たばこ会社に雇われた医者に批判の声
https://www.mededge.jp/a/resp/20186
2015年11月5日 12:00 PM
たばこ会社のために、「長年にわたってたばこを吸っていても、がんとの関係があるかは分からない」といった証言を訴訟の場で繰り返ししている医者に批判が集まっているようだ。
たばこの有害性と、そこに伴う責任はどのように理解されるのだろうか。
訴訟記録を分析
米国のスタンフォード大学の研究者が、耳鼻咽喉科分野の国際誌であるラリンゴスコピー誌のオンライン版に7月17日に報告した。
研究グループは、喫煙のためにがんになったと訴えた人の裁判の記録を1年半かけて検証した。多数の公開文書、専門家の証人による発言、裁判での発言を含むものとなっている。
その上で、科学的な文献を検討しつつ、たばこ会社側に立つ専門家の証人が科学的な根拠に基づいているかも調べた。
専門家ならば、科学的な根拠に基づいてモノを言うべきだという趣旨となっているようだ。
結果として、証言は矛盾をはらむと言う。
「たばこよりも悪い要因はある」
6人の専門医がたばこ会社によって雇われて証言しているという。その内容は、喫煙のリスクを、別の要因と比べて検証するというものだ。例えば、洗浄液に触れる、塩漬けの魚を食べる、うがい薬を使うといったもの。喫煙のリスクはこうした要因を上回らないと証言しているという。
背景には、たばこ会社からの報酬があるという。6人は50以上の訴訟でたばこ会社を擁護してきたともいう。
アルコール、ディーゼルの煙、塩漬けの魚、胃酸の逆流、うがい薬、都会の生活などの情報をことさらに強調して、たばこの害が低いかのように印象付けていて問題と言う。
実際に、たばこの害を訴えた裁判で、たばこ会社の責任を問わないと最終的に結論付けられる事例もあったと説明。研究グループはたばこの有害性を重く見るべきだと指摘する。
因果関係をどう証明?
たばこ会社はたばこががんのリスクを高めると認めるものの、個別のがんを起こした事例ではがんとの因果関係を認めていないようだ。ほかにもがんを起こす原因はあり得るためだ。研究グループは因果関係が濃厚と反論している。
たばことがんの因果関係はどれくらい明らかなのか。訴訟社会の米国ではより議論は活発になるのだろう。
米国ほどではないにせよ、日本でも、たばことがんとの関係性はさらに関心を集めそうだ。
文献情報
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