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(脱短命県)県内で取り組み 「たばこ規制」官民後押し

(脱短命県)県内で取り組み 「たばこ規制」官民後押し

http://www.asahi.com/articles/ASHD27GZLHD2UBQU00T.html

2015年12月3日07時00分

■条例化は一部業界が壁に

 厚生労働省の2013年国民生活基礎調査で青森県の喫煙率は男性が全国最下位、女性は北海道に次ぐワースト2位だった。高い喫煙率を減少させようと、県内で様々な取り組みが始まっている。

 11月24日、弘前市役所で「市たばこの健康被害防止対策協議会」の初会合が開かれた。会合では、たばこによる健康被害を防止するため、市のほか企業や医療機関、学校など団体、市民が果たすべき役割を定める「(仮)市たばこの健康被害防止対策に関する指針」の素案概要が示された。

 指針策定のきっかけは、2014年2月に医師らでつくる市民団体「県タバコ問題懇談会」(青森市)が弘前市長ら宛てに提出した禁煙条例の制定を求める要望書だった。だが、3月には飲食や宿泊などの業界団体でつくる弘前たばこ販売協同組合が「慎重な検討」を求める意見書を出して反発。結局、規制のかかる条例ではなく、強制力のない指針の策定にとどまった。市は年度内に指針をまとめる方針で、同様の指針は昨年12月に策定した青森市に次いで県内では2番目という。

 素案概要によると、子どもや病人が利用する保育所や医療機関などについては敷地内禁煙を目指す。官公庁や飲食店、ホテルなど多くの人が利用する施設については、敷地内禁煙または建物内禁煙とした。

 協議会では「分煙」を認めるよう求める意見もあった。しかし、弘前市健康づくり推進課の担当者は「喫煙所の開閉などでたばこの有害成分が漏れるので、分煙は意味がない」と厳しい姿勢を示した。そして指針で効果がなければ、条例制定などを検討するという。

 だが、条例となると喫煙者を顧客とする業界からの反発が激しくなることが予想される。5月には東京都が条例制定の判断を先送りした。現在、国内で罰則付き条例を制定しているのは神奈川県と兵庫県のみだ。

 県も、施設内を禁煙にした2082施設(9月末現在)を「空気クリーン施設」として認証し、県ホームページなどで紹介している。ただ、認証施設の多くは医療機関や学校など。県がん・生活習慣病対策課が14年度に実施した調査では、県内824の宿泊施設のうち認証を受けたのは2施設(0・2%)、飲食店では県内4944店のうち118店(2・4%)にとどまった。

 県健康福祉部では、クリーン施設を増やそうと、今年9月から同部が主催する講演会や討論会、外部有識者らを招いた会議などの会場に、受動喫煙防止対策をしている施設を優先的に利用している。

 民間では、みちのく銀行(青森市)が14年3月、職員の健康づくりに取り組むことをうたった「健康経営宣言」をした。今年4月から、その一環として「全行・全館の完全禁煙」を実施している。1年かけてポスターなどで周知を図ったこともあり、利用者や職員から苦情などはないという。また、ウェディングプラザ「アラスカ」(青森市)は4月から宴会場や客室などを除き館内禁煙を実施し、2階に喫煙室を設けた。佐々木優総支配人は「煙を嫌がる人も、吸いたい人もいる。両方の意見から分煙にした」と話す。

 禁煙に取り組みたい人を支える仕組みもある。禁煙治療では若者を中心に保険適用にならない場合がある。県は10月から、保険適用外で禁煙治療を希望する人が保険診療の自己負担とほぼ同額で治療が受けられる補助事業を始めた。

 県タバコ問題懇談会事務局の新谷進一さんは「青森の人は健康を守る意識が低い。健康を守るためには禁煙条例が必要だ」と言う。

(この連載は姫野直行が担当しました)

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