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コンビニオーナー的にはちょっとうれしい「たばこのオマケ中止」

コンビニオーナー的にはちょっとうれしい「たばこのオマケ中止」

http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1605/23/news092.html

先日、たばこのオマケが中止になるという報道があった。オマケとは、ライターや缶コーヒーなどだが、なぜたばこのオマケは駄目なのだろうか。

2016年05月23日 12時55分 更新

 先日、たばこの販売促進(以下、販促)のオマケが中止になるという報道があった。財務省が「実質的な値引き販売に該当すると認められる場合、たばこ事業法違反となる恐れがある」とし、日本たばこ協会に警告したという。

 販促のオマケとは、ライターや缶コーヒー、ガムなどのお菓子で、100~200円程度のものだ。ある雑誌ではトートバッグなど、オマケなのか本なのか分からないほど豪華なモノもあるのに、なぜたばこのオマケは駄目なのか。今回は、コンビニでのたばこ販売と販促のオマケについて考えてみる。

オマケのほとんどは200円以下

 まず、たばこの販売はどのように定められているのか。たばこ事業法を確認すると以下のような記述がある。

第三十六条  小売販売業者は、第三十三条第一項又は第二項の規定による認可に係る小売定価によらなければ製造たばこを販売してはならない。(たばこ事業法より一部抜粋)

 たばこは希望小売価格ではなく、決められた価格で販売しなければならない。賢明な読者なら「価格は決められているのだから、オマケは関係ないのでは?」と思われるだろう。確かにその通り。たばこの販売価格は決められていて、オマケについては店、もしくはたばこ会社の経費なのだから、アレコレ言われる筋合いはない気もする。

 では、オマケについてはどうだろうか。オマケは総付景品、いわゆる「ベタ付け景品」と呼ばれ、景品表示法で以下のように決められている。

 

景品表示法「総付景品の限度額」(出展:公正取引委員会)

 

 先の報道に話を戻そう。問題になったのはたばこ各社の販促キャンペーンが過熱し、タブレット清涼菓子や缶コーヒーなどの商品にとどまらず、コンビニコーヒーと交換できるクーポン券を配る店舗も増えていたからだ。

 ただ、景品表示法の数字だけを見れば「オマケになっているのは、ほとんどが200円以下の商品なのだから問題ないのでは?」と思うのだが……。こればかりは、筆者が何か言ったところでどうにかなるものではないが、正直、腑(ふ)に落ちない部分もある。

「オマケがあるからこのたばこにしよう」

 コンビニオーナー経験者の本音としては、景品が自粛されることはちょっとだけうれしく思う。それは、オマケにかかる負担が少なくなるからだ。

 たばこのオマケの定番はライターだ。たばこは嗜好品なので「オマケがあるから売れる」というよりは、「オマケがあるからこのたばこにしよう」という感じだ。オマケによって買う銘柄が左右されることはあるが、たばこ自体の売り上げが変わることはほぼない。

 これまでは、ほとんどの店舗が10個入りパッケージのカートンにだけオマケを付けていたが、下表のとおり、販売数量が年々落ち込んでいる昨今は、新商品のキャンペーンでオマケを付けることも少なくない。もちろん、オマケになっている景品の多くはたばこ会社からの支給なので店舗側の負担はほとんどないが、オマケが当たり前になることで別の不都合を生むこともある。

 

年度別 販売実績(数量・代金)推移一覧(出展:一般社団法人日本たばこ協会)

 

 

「毎日買っているから、ライターちょうだい」

 現在多くのコンビニでは、カートンでまとめ買いをした人にはライターを付けている。筆者がオーナーを務めていたときにもライターを付けていたわけだが、むちゃくちゃなことを言う常連さんがいた。たまたまライターを忘れたのかガスが切れたのかは分からないが、たばこを買うときに「ライターちょうだい」と言ってくるのだ。

 オマケのライターはカートンで買った人に差し上げているモノだと説明すると、「毎日買っているのだからいいじゃないか」と言うのだ。確かに、常連さんなのでライター1つで細かいことを言うのも……と思ったが、店ではオマケとは別にライターを販売している。ライターは1個当たり20~30円で仕入れていて、常連だからと言ってホイホイとあげていたら、店の負担は増すばかりなのだ。

 「じゃあ、なぜカートンで買う人にはオマケをあげるの?」と疑問を感じた人もいるだろう。これは筆者の分析だが、カートンで購入する人は、“たばこの消費スピードが速い”とみている。必要な分をその都度買う人は、たばこが残り少なくなると「ちょっと我慢するか」となって、消費スピードを遅くする傾向がある。

 しかし、カートンでまとめ買いをする人はその必要がない(残り1箱という場合は違う)。どんどん吸うので、消費スピードが落ちにくいのだ。ということで、店にとってはカートン購入派は“おいしい客”となる(考えてみれば、オマケをあげてもあげなくても、カートン派はまた来店する可能性が高いので、オマケのライターを付けなくてもいいのかもしれない)。

売り上げと利益率の問題

 コンビニの店舗には約3000種類の商品を扱っているが、たばこはあまり“うまみ”がない。どういうことか? 利益率が低く、10%ほどしかないのだ。「利益率が低いのだったら、取り扱いを止めれば?」と思われたかもしれないが、たばこを取り扱っている店舗とそうでない店舗を比較すると、たばこを販売しているコンビニのほうが確実に売り上げが高い。理由は2つ。1つは、たばこを取り扱うことで集客力が上がるから。もう1つは、「ついで買い」をする人が増えるから。

 たばこを吸う人で、コンビニでたばこだけを買って帰る人は少ない。コーヒーなどの飲み物やお菓子など、ほかにも何かしら買っていくので全体の売り上げがアップするのだ。

 たばこのついで買いのように思われるシーンであっても、実はそうでないこともある。例えば、たばことコーヒーをセットで買う人は、どちらが目的というわけではなく、どちらも欲しいから買っているのだと思う。


 バブル崩壊後のデフレを経験したわれわれは、賢く買い物をするようになった。以前なら「たばこだけを買うのもなあ」と感じて、ちょっとしたモノを一緒に買う傾向があったが、長引く不景気を経験して、今では「必要なモノだけを買う」という意識が世間的にも徹底されているように思う。

 財務省が値引きではない「オマケ」に首を突っ込んできたのは、たばこメーカーが利益を減らすのではないかと見ているのではないだろうか。オマケを付けることで、メーカーの利益が減少すれば、最終的には税収入が減ってしまう。

 時を同じくして、酒の安売りに対しても規制をかけようという報道があった。このことからも、お上は税収入について見直しを図っていると筆者はみている。

 オマケのライターにまで規制が及ぶのか、タブレット清涼菓子やクーポンといった新しいタイプのオマケだけが対象になるのかはハッキリしていないが、「たばこのオマケがなくなるかも」と聞いて、ニヤリとしたコンビニオーナーも少なくないはずだ。

 

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