たばこと口のがん /大阪
http://mainichi.jp/articles/20160803/ddl/k27/070/630000c
毎日新聞
2016年8月3日 地方版
たばこには4000種類以上の化学物質が含まれ、約200種類の有害物質、40〜60種類もの発がん物質が含まれています。たばこの煙によって口や肺のがん、呼吸器疾患をはじめ、循環器疾患などさまざまな病気を引き起こすことが多くの研究でわかってきました。最近このようなことが一般的に知られるようになり、2003年5月に受動喫煙を防止するための法律(健康増進法第25条)が施行され、百貨店や飲食店など多くの人が集まる場所が禁煙になったことや健康への意識の高まり、禁煙治療の保険導入などから、喫煙者の数はかなり減少しています。
体の中でたばこの煙が最初に触れるのは舌、歯ぐき、頬の内側の粘膜などで、煙の中に含まれるニコチンや発がん物質を含む有害物質などによってダメージを受けることになります。喫煙者の口のがんの発生率は非喫煙者に比べ約7倍高く、死亡率は約4倍も高いという報告があります。また、噛(か)みたばこの習慣のある南・東南アジアではがんの約30%が口に発生しています。
日本で口のがんで死亡する人の割合はがんで死亡する人の約2%です。歯や舌は食事や会話のためになくてはならない非常に大切な臓器です。がんになれば手術で切除しなければなりません。手術前に放射線を患部にピンポイントで照射して、切除する範囲を小さくしたり、切除したところに血管をつないで皮膚や骨を移植したりするなど治療のレベルもあがりましたが、それでも機能障害は残る場合があります。
口のがんの初期症状は粘膜が白くなる、ただれる、血がにじむ、しこりがあるなどで、口内炎の症状と似ているところがあります。ですから、たばこを吸われる方は自覚症状が無くても口のがん検診を受けていただく事をお勧めします。(府歯科医師会学術部)
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