【白澤先生インタビュー(第1回)】認知症は予防できる?
【白澤先生インタビュー(第1回)】認知症は予防できる?
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2016年9月5日
認知症を「予防」という観点からサポートする認知症予防専門医院「白澤記念クリニック」。 その最高顧問を務める白澤先生に、認知症のメカニズムから認知症の具体的な予防方法までをお訊きしました。
認知症はこれまで、予防も治療も難しい病気として認識されていました。
しかし、さまざまな研究が進むにつれ、認知症は早期の対策で発症を予防することは可能であるということがわかってきています。
今回は、認知症予防専門クリニックの最終顧問を務める白澤卓二先生に、認知症における予防について、その重要性や具体的な予防のポイントを教えて頂きました。
―認知症における予防の重要性とは?
認知症は、早期発見・早期治療で問題が解決する病気ではありません。
もしも早期に発見して早期に治療することで解決するのであれば、癌の場合のように、早期発見で良くなりました、という人が世の中にたくさんいてもいいはずです。
しかし、認知症ではいませんよね。
治療して認知症が良くなった人は世界中にひとりもいないんです。
その理由は、今の認知症の治療が対症療法だからです。
要するに、認知症という病気を治す治療薬は無いのです。それならば、予防するしかないのです。
認知症が怖い病気でなくなったのは予防法が確立したからです。
本来、順番でいくと治療法が出てきてから予防法が出てくるのですが、私は治療薬が先に出てくる必要はないと思っています。治療薬がなくても、予防法が確立することによって、この病気は今ほど問題になる病気じゃなくなる可能性が高いんです。
―認知症の予防としてはまず何から始めればよいのでしょうか
予防は今日からでも実践できます。例えば、血糖値や血圧を抑えること。
たばこも控えた方がよいでしょう。
これらは、生活習慣の一部ですよね。私から言わせれば、認知症は生活習慣病。
私は近い将来アルツハイマー病は生活習慣病になると思っています。生活習慣をコントロールすることによって、認知症は予防できるのです。
―なぜ、生活習慣と認知症が関係するのですか
Ⅱ型の糖尿病の人はアルツハイマー病の発症が2倍高いということが分かっています。
アメリカ、ヨーロッパ、日本でも糖尿病の人のアルツハイマー発症率が2倍という結果が出ています。 つまり、糖尿病の人をちゃんと治療することによってアルツハイマー病の発症率が半分になるんです。
これで予防可能という理屈が出てきます。
私は、糖尿病の先にあるのがアルツハイマーだと考えています。
だから糖尿病の人は、血糖を厳しくコントロールしていく必要があると思っています。
また、太っている人がアルツハイマー病の発症率が高く、やせることによってリスクが下がること、中年期の高血圧も発症率が高いということが調査からわかっています。要するに、生活習慣の見直しなどのやりようで発症率を下げることができるのです。
―予防として、具体的に生活の中でどのようなことに気をつければよいのでしょうか
ひとつは食事ですね。特に、きちんと噛むことが大切です。噛むことは広範囲に脳を使います。
飲み物を飲んだり、噛まずに飲み込んだりしても脳に刺激は入りません。
日本人の最近の食事を見ていると、ほとんど噛んでないことも多くあります。
噛まなくても食べられるものが多いんです。
例えばカレーライスを噛まずにすぐ飲み込んだり。
だから、わざと噛まなきゃいけないものをお皿にのせるということはひとつの認知症対策と言えます。
―食事の内容も予防に関わりますか
そうですね、何を食べるかも重要です。
最近ではココナッツオイルとかオメガ3の油とかありますよね、この油も重要なんです。
脳の海馬という深い部分にあるところのMRIをとるとオメガ3が低下しているのがわかります。
オメガ3をしっかりとっていると脳が萎縮しにくいと言われています。
日本人は昔から魚を多く食べていたので、脳の中にたくさんのオメガ3があったはずなんです。
ところが最近は、サラダ油が出てきて、加工食品の中にもオメガ6というサラダ油の系統が入っているので、脳の中のオメガ3が不足してしまっているのです。
オメガ3をしっかり摂るには、魚をしっかり食べること。サプリメントもありますので、魚がダメな人はサプリメントにしてみましょう。
サプリメントで摂ってもすぐに脳の状態が戻るわけではないので気の長い予防法ではありますが、確実です。
ココナッツオイルの方は、摂取してから4時間後には効果がでます。
そういう意味では即効性があります。
ココナッツオイルの場合は中に入っている中鎖脂肪酸が肝臓でケトン体に変わって、脳がケトン体を吸収することで認知機能が上がります。
このふたつを組み合わせて、食事の指導というものも行っています。
―避けた方がよい食事などはありますか
パンに使われている小麦粉の中にグルテンというたんぱく質が含まれているのですが、
これを食べ続けていると認知症になりやすいです。
私のクリニックに40代、50代の人が来られたら、私は「パンをやめなさい」と言っています。
ただ、日本人は小学校の給食でほとんど毎日パンを食べていたからなかなかパンがやめられないんですよ。
オメガ3よりも、パンをやめることの方が、より認知症の予防にはなるのです。
―認知症予防に理想的な食事とは
日本人だったらまず玄米、それから納豆、卵、魚、これが基本ですね。
日本の朝食というのは、玄米、お味噌汁、納豆、卵、焼き魚、あとは根菜。これでいいんです。
毎日同じでもかまいません。 夕食は、お肉が好きな方であれば、ステーキに赤ワインとお野菜。お肉は噛みごたえのある赤肉がよいでしょう。
魚であれば、青魚にすればオメガ3をしっかり摂ることができます。
こういったメニューは満足度も高くなるので、パンとか小麦粉なんかもいらなくなりますよ。
―先生のクリニックでも食事指導をされているのですか
食事のマネジメントは何においても重要で、前向きに挑む人は食事から変えてきています。
サッカーやボクシングの選手なんかもそうですよね。
クリニックでは悪いものをやめるというアプローチをしています。
パンをやめさせるには勇気がいりますが、それだけエビデンスがあるので私は指導します。
だから、患者さんが毎日パンを食べている方であれば、そこから離脱するところから始めます。
お昼にパンやうどんなどグルテンが含まれているものを食べると、脳がアタックされて、午後は一時的に認知機能が低下してきます。
グルテン摂取をやめたときからパフォーマンスは変わってきます。
この予防対策は、治療薬をつくるよりも効果がすぐに出て、すぐに実践できます。
これを続けることで、認知機能を貯蓄することも可能なのです。
新宿白澤記念クリニック
東京都渋谷区代々木2-9-2久保ビル6F
予約受付:10:00 – 19:00
診療時間:10:00 – 17:00
診察日:月・水・木
TEL:Tel.0120-428-300 Fax.03-6276-1887
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