たばこの健康被害 「パッケージの警告文は画像で」が世界の潮流?
たばこの健康被害 「パッケージの警告文は画像で」が世界の潮流?
たばこを吸わない人でも、コンビニエンスストアや自動販売機などでたばこのパッケージは見たことはあるだろう。いったい何種類あるのかと驚くほど、いろいろなデザインのパッケージが並んでいる。
たばこのパッケージの警告文 目に入りますか?
パッケージの外側には、3分の1の面積を使って、「喫煙は、あなたにとって肺がんの原因の一つとなります」や、「人により程度は異なりますが、ニコチンにより喫煙への依存が生じます」などといった警告文が記載されている。
しかし、この警告文、はっきりと書いてはあるものの、パッケージのデザインに同化してしまっている気がしてならない。筆者はたばこを吸わないが、警告文が訴えている恐ろしさよりも、たばこのパッケージは「かっこいい」とか「おしゃれ」とかそんなイメージを持っている。皆さんはいかがだろうか。
そのような、どちらかといえば“悪くはなさそう”というイメージを多くの人に抱かせる危険性のあるパッケージを変えた方がいいのではないか。そんな動きがあるようだ。
たばこパッケージの警告は画像付きが良い?
国立がん研究センターは、たばこのパッケージの警告表示はどのようなものが読まれるのかについて、2016年の4月にインターネットで意識調査を行った。20歳以上の喫煙者、非喫煙者、過去喫煙者の2,000人に加え、16歳から19歳の未成年者440人にも聞いた。
さて、その結果、喫煙者が表示を認識して表示内容を読む効果が大きいのは、「画像付きの警告表示」と答えている人が多いことが分かった。
しかも喫煙者の半数近く、成人全体では70%が「画像付きの警告表示」を入れることに賛成した。ちなみに、「画像付きの警告表示に反対」は喫煙者でも20%と少なかった。
また、警告表示の面積を現状の3分の1ではなくもっと大きくすること、大きな文字でシンプルな表現にすることも、同じくらいの割合の人が賛成した(※1)。
たばこパッケージの警告文、画像付きってどういうこと?
画像付きのたばこのパッケージにはどんな画像が掲載されているのだろうか。
オーストラリアの例を見てみたい。オーストラリアは画像付きのパッケージはもちろん、「プレーン・パッケージング」といって、たばこの箱にブランドのカラーやロゴなどを印刷することを禁止して、たばこのパッケージがタバコの販売促進のための小さな看板となることを防ぐ政策を積極的に行っている国だ(※1,2)。
あるブランドでは、肺がんで亡くなったやせ細った男性の写真や黒ずんだ肺の画像、舌がんになった舌の画像などが掲載されていて、正直、見るに堪えない画像だ(※2)。
がん研究センターの調査でも、画像を不快・不適切と感じるかどうかは賛否両論あったようだ。ただ、画像に不快・不適切と思うものがあっても、警告表示に画像を入れることには賛成とする意見は多かった(※1)
日本のたばこパッケージ警告文 文字は大きく、画像掲載は見送り
財務省の諮問機関は警告文の表示について話し合ってきたが、2016年6月に指針をまとめた。新たに未成年者の喫煙防止を訴える警告文を取り入れること、文字を大きくすることなどの方針が決まった。しかし、画像掲載については、海外での効果をもっと検討すべきとして見送りになった(※3,4)。
画像が掲載されれば、確かに恐ろしさを感じてたばこを吸いたいと思う人は少なくなるかもしれないと感じる。たばこの健康被害については吸う人本人の判断に任せられている。必要な情報は掲載して、その上で各個人が判断できるようにすることが大切だ。
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