成人T細胞白血病(ATL)の発症リスクは喫煙で高まる 国立がん研究センターなど研究
成人T細胞白血病(ATL)の発症リスクは喫煙で高まる 国立がん研究センターなど研究
http://www.sankei.com/life/news/161108/lif1611080010-n1.html
2016.11.8 08:10更新
さまざまな種類のがんの原因とされている喫煙は、血液のがんの一種である成人T細胞白血病(ATL)についても発症リスクを高める。国立がん研究センターと長崎大などのチームが、20年近くかけた追跡研究を基にそんな結果を発表した。 ATLは、母乳や性交渉などを通じリンパ球に感染するウイルス「HTLV1」が引き起こす疾患。国内のHTLV1感染者数は72万~82万人と推計されている。 これまでの研究によると、発症するのは母子感染した人の5%程度と少なく、一般に発症までに数十年かかるが、発症すると治療は難しい。感染者の発症リスクを左右する生活習慣が、追跡研究で明らかにされたのは初めてだという。 チームは、平成5年時点でHTLV1への感染が確認され、喫煙経験に関するアンケートに答えた40~69歳の男女1332人を、24年まで平均17年間追跡した。喫煙経験があったのは男性の72%、女性の2%で、追跡期間中に25人がATLを発症した。 喫煙とATL発症の関連を、年齢や飲酒などの影響も考慮して分析したところ、1日に吸うたばこの本数が増えるほど、そして喫煙期間が長くなるほど、ATL発症のリスクが高いことが明らかになった。感染者が1日1箱(20本)の喫煙を40年続けると、全く吸わない場合に比べ、ATL発症リスクは2.39倍になるとの結果だった。
分析を担当した長崎大原爆後障害医療研究所の近藤久義准教授は「確定的な結論を出すには、より大規模な調査での裏付けが望ましいが、今回の結果を見るだけでも、HTLV1感染者にはぜひ禁煙を勧めたい」と話す。
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