“スモーカーの天敵”日本の受動喫煙に苦言
“スモーカーの天敵”日本の受動喫煙に苦言
http://www.news24.jp/articles/2017/04/13/07358906.html
2017年4月13日 17:17
たばこの煙が吸わない人に流れる受動喫煙。政府が規制に乗り出す一方、強い反発もあり議論は進まない。こうした中、“スモーカーの天敵”とも呼ばれる、ある人物が日本に苦言を呈した。
■路上より先に「屋内を禁煙」にすべき
サラリーマンでにぎわう街、東京・新橋に先週、現れた男性。WHO(世界保健機関)の幹部、ダグラス・ベッチャー氏だ。世界の受動喫煙対策の第一人者で、“スモーカーの天敵”とも呼ばれるベッチャー氏に、日本の状況を見てもらった。新橋がある港区は、路上での喫煙は条例で禁止されている。
記者「見ても分かるように路上で喫煙している人はいないですよね」
ベッチャー氏「(これまで)路上を禁煙にして屋内を禁煙にしない国はありませんでした。まずは『屋内を禁煙』にしなくてはいけません」
日本の問題は、飲食店などの「屋内」にあるという。WHOによると、世界49か国には、全ての公共施設の「屋内を」全面禁煙とする法律がある。しかし、日本は「屋内の」喫煙を規制する法律がなく、「日本の受動喫煙対策は世界最低レベル」とされていた。
■「分煙は世界で失敗している」
私たちはベッチャー氏と「分煙」を実施する飲食店を訪ねてみた。
店主「禁煙の席があちらの部屋とカウンターが10席ほど、ここから向こうは喫煙可能です」
ベッチャー氏「喫煙エリアと禁煙エリアを分けるというのは、世界中で行われていますが完全な失敗でした」
席を分ける「分煙」では意味がない、と厳しい指摘。客がいる状態の店の様子も映像で見てもらったところ―
ベッチャー氏「全く効果がありません。部屋を遮断して、換気をしたとしても有害な物質は漏れ出て、他の場所へと到達します。これでは健康を守る有効な対策とは言えません」
扉などで遮断して「分煙」にしたとしても、煙を完全に遮ることは難しく、効果はないという。しかし、店の経営者は全面的な禁煙にするのは不安だという。
店主「(禁煙対策で多くの店は)客が減って売り上げが落ちてしまうとか、つぶれてしまうことにもならないか一番懸念しています。ここはたばこを一切吸わない、もしくは吸っても良いというのは、お店の判断でいいと思うんです」
日本の飲食業界団体は経営に影響が出るとして、禁煙ではなく「分煙」を求めている。別の飲食店では、フロアを分けて禁煙席と喫煙席を設けているが―
ベッチャー氏「受動喫煙の危険性が極めて高いといえます。レストランの別の場所で漏れた煙が別の場所に到達するからです。ここで働いている人などの健康被害も心配です」
■自民党内部から強い反発
WHOの指摘を受け日本の厚労省が出した受動喫煙対策の強化案では、小中高校や医療施設は敷地内を全面禁煙とし、飲食店についても、一部を除き、原則、禁煙としている。しかし、この案に自民党内から強い反発が出て今、議論はストップしている。
自民党たばこ議連・野田毅会長「禁煙よりは分煙。目指せ分煙先進国を合言葉に。(喫煙者・非喫煙者が)両立できるような形でいこうと」
しかし、ベッチャー氏はアメリカなどの例をあげ「レストランなどで完全禁煙にしても、売り上げに影響はないという研究結果がある」と反論している。
ベッチャー氏「日本の政府は、女性や子どもが受動喫煙が原因で、1年間で15000人も命を落としているということにもっと目をむけるべきです。健康被害を受ける人には何の罪もありません」
政府は東京オリンピックまでに受動喫煙対策を強化したい考えだが、議論の行方は見通せない状況だ。
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