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人気の加熱式たばこ 若年層や妊婦への影響を医師が解説

人気の加熱式たばこ 若年層や妊婦への影響を医師が解説

http://www.sankei.com/west/news/170722/wst1707220003-n1.html
2017.7.22 12:00

 2020年に向け国会では、受動喫煙の防止対策を強化した健康増進法改正案について検討中である。そんな中、「IQOS(アイコス)」など新型タバコの販売が拡大し、話題となっている。以前リリースした、「タバコの恐ろしさと最近話題のアイコスについて医師に話を聞いてみた」にもあるように、有害物質が低減されているとはいえ、長期に渡って吸い続けると健康被害を自分だけでなく周囲にも及ぼす点があるというのが気になるところだ。そこで今回も、長岡内科医院院長の鈴木飛鳥先生に、さまざまな観点からアイコスのリスクについて、妊婦や若年層への影響を含め掘り下げてもらった。 減量されていても発がん性物質は含まれる  まず、アイコスに含まれる成分についてのリスクを教えてもらった。  「アイコスにも紙巻きタバコと同様ニコチンが含まれており、減量されていても発がん性物質は含まれています。通常のタバコより高濃度のいくつかの有害化学物質も存在するとの報告もあり、より多くの研究機関での検証が待たれています。発がん性物質は、少量でも健康に悪影響をもたらす可能性があります。アイコスの健康への影響を調べるためには、長期的な研究が必要で、健康リスクが減少するという医学的根拠を得るには至っていません。禁煙が難しい喫煙家に限っては、有害性の低減という観点からみれば、選択肢の一つとなる可能性はあります」(鈴木先生)  アイコスも、タバコであることには変わりがない。ニコチンや発がん性物質を体内に入れているという認識を持つ必要があるようだ。 妊婦がアイコス、大丈夫?  妊娠中の禁煙がつらいという人の中には、アイコスなら大丈夫ではないかという期待を持つ人もいるかもしれない。  「喫煙により流産や子宮外妊娠などの合併症が増加し、出生体重や先天異常などが増加したり、胎内の赤ちゃんの動きが変化したりすることも報告されています。アイコスにも、ニコチンや化学物質が含まれているため、お腹の胎児に影響を及ぼすリスクは高くなると考えられます」(鈴木先生)  百害あって一利なし、妊娠中は生まれてくる子どものためにも完全な禁煙が必須だ。 アイコスで段階的禁煙はできるのか  では、禁煙という観点においてアイコスを使用するのはどうだろうか。  「小規模ではありますが、タバコからアイコスに変える人の喫煙意識調査の結果では、アイコスを含む加熱式タバコを経由して禁煙に至るケースは少なかったそうです。加熱式タバコへの依存が認められ、タバコ同様にニコチン依存が存在するものと考えられます。とはいえ、アイコス経由で成功した事例も散見されますので、禁煙のために喫煙習慣を変える方法の一つとして有効であるかもしれません」(鈴木先生)  最後は結局、本人の意思次第ということだろう。さらに、鈴木先生はアイコスのリスクを、次のように指摘する。  「未成年者を中心とした非喫煙者が、デザインに惹かれ、身体への影響などを考えずに新しい生活習慣としてアイコスを開始するリスク、さらにタバコの使用へと誘導するゲートウェイになるリスクがあります。また、アイコスは、喫煙者の禁煙意志を遠ざけてしまうリスクも示唆されています。実際に、最近日本の喫煙率の低下傾向は下げ止まりの傾向を示しています。日本禁煙学会では、『加熱式タバコは安全性が科学的に確認されるまでは他者のいるところで使用すべきものではなく、当然、公共の場所での使用は禁じられるべきである』との見解を出しています。アイコスは『タバコ』です。非喫煙者が新たな生活習慣として、新しいたばこを吸うことが増えてきている可能性が危惧されています」(鈴木先生)  今後ますます、愛煙家にとっては居心地の悪い環境になっていくと思われるため、加熱式タバコの需要も増えていくと予想される。しかし、吸わないに越したことがないのは明白。2020年に向け、喫煙者もアイコスユーザーも、本格的な禁煙にチャレンジしてみてはいかがだろう。 ●専門家プロフィール:鈴木飛鳥 内科医。医療法人長岡内科医院院長。生活習慣病、肺炎などの感染症の治療や消化器疾患の治療を得意分野とする。安心・安全で質の高い医療を提供し、地域医療に貢献することに力を注いでいる。

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