電子たばこの普及が禁煙率の上昇に寄与?
電子たばこの普及が禁煙率の上昇に寄与?
電子たばこの普及が禁煙率の上昇に寄与?
米国での禁煙率の上昇には電子たばこの普及が寄与した可能性があるとの研究結果が「BMJ」7月26日オンライン版に掲載された。同国では2010年頃から電子たばこの使用が急速に拡大したが、米国民の喫煙調査データを調べた結果、同時期に禁煙率が上昇していることが分かったという。
米カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)家庭医学・公衆衛生学のShu-Hong Zhu氏らは今回の研究で、米国民を対象とした人口動態調査の一環で3~4年ごとに実施されている喫煙調査(CPS-TUS)のデータを使用し、禁煙率と電子たばこの使用との関連について検討した。
2014~2015年に実施された同調査の回答者約16万人のうち喫煙経験が全くない人は約10万人、喫煙者は約2万2,500人、「最近(過去1年以内に)禁煙した」と回答した人は2,136人だった。このうち「最近禁煙した」と回答した人の49%に電子たばこの使用経験があったという。
Zhu氏らが分析した結果、電子たばこ使用者は非使用者に比べ、禁煙を試みた経験がある割合が高く(65%対40%)、3カ月以上の禁煙に成功した割合も高かった(8%対5%)。なお、同氏によると1%の禁煙率増加は喫煙者約35万人が禁煙したことに相当するという。
さらに、集団レベルでの全体的な禁煙率は、2010~2011年調査時の4.5%から2014~2015年調査時には5.6%に上昇していた。
米国では電子たばこの使用は2010年から2014年までに急速に拡大したが、同時期に禁煙率が上昇していることになる。専門家の間では、電子たばこは「喫煙の入り口」となるとして否定的な見方がある一方で、禁煙のツールとして期待する声もあり、見解が一致していない。
今回の研究結果について、米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)の禁煙センター長であるSteven Schroeder氏は「電子たばこの使用者が増加し、同時に禁煙に成功する人も増え、成人の喫煙率が低下しているという状況を明らかにしたに過ぎないが、説得力はある」と評価。また、Zhu氏やSchroeder氏は「電子たばこは完全に安全とはいえないが、通常のたばこと比べれば害が少ない可能性がある」との見方を示しており、Schroeder氏は「もし米国の4000万人の喫煙者が電子たばこに切り替えれば、米国民の健康は向上する。推奨されている方法で禁煙できないなら、電子たばこの使用を考えてもよいのではないか」と話している。
また、米ミシガン大学公衆衛生学教授のKenneth Warner氏も、今回の研究結果を歓迎している専門家の1人だ。同氏は「米国では電子たばこによる若者への影響や成人の健康被害ばかりが注目されている。しかし、他の方法で禁煙できなかった人に電子たばこの使用を積極的に勧めている英国のアプローチを、米国でも受け入れる必要がある」と主張している。
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