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動かぬがん対策 政権の都合での遅れ許されない

動かぬがん対策 政権の都合での遅れ許されない

2017年9月25日(月)(愛媛新聞)

 9月は「がん征圧月間」。まさか今月になっても、国のがん対策の「柱」が決まらないとは思いもしなかった。

 がん対策基本法の施行から10年。「次」の方向性を示す第3期がん対策推進基本計画が、当初7月の予定だった閣議決定ができず、宙に浮いたまま年度の半分を空費している。何とか来月の閣議決定を目指したが、それも突然の「疑惑隠し解散」でさらに遅れることは必至。国民の命に直結する重要政策そっちのけで政局にいそしむ安倍政権に、強い失望と憤りを覚える。

 「第3期」とは、本年度から6年間。既に半年たち、本年度の事業はもちろん来年度予算にも影響が出かねない。何より国の計画を受けて、来年度からの個々の推進計画を策定する都道府県の作業が既に大きく切迫、遅滞していることを強く危惧する。一刻も早い閣議決定は、政権の最低限の責務である。

 ここまで遅れた主因は、基本計画と並行して議論された、受動喫煙対策を強化する健康増進法改正への強い反発にある。

 2020年東京五輪までに原則屋内禁煙を掲げた厚生労働省に、自民党が抵抗。臨時国会への法改正案提出も吹き飛んだ。あおりを受け、厚労省の協議会で委員全員が「受動喫煙ゼロ」の目標を盛り込むよう求めていた基本計画も「頓挫」。目標の記載は見送られる方向という。

 だが、受動喫煙対策は何も東京五輪のためだけではない。健康被害は科学的に証明され、推計では年間1万5千人ががんで亡くなり、医療費が3千億円余計にかかっている。健康増進法とは別にがん対策として盛り込むのは当然であり、党の一存で目標さえ覆すのであれば、協議会軽視も甚だしい。

 新たにがんと診断される人が年間100万人を超える時代、対策強化は待ったなし。都道府県は、「予防」「医療の充実」「がんとの共生」を3本柱に掲げた基本計画の骨格だけでも積極的に「先取り」しつつ、地域の課題や特性を踏まえた独自の推進計画づくりを急ぎたい。

 今月公表の国立がん研究センターの13年データの分析では、肝臓がんは西日本に多いなど地域差が浮き彫りに。また人口10万人当たりの新たな患者数は、愛媛県は男性が15番目、女性は23番目とやや多かった。発見遅れか、医療体制の不備か、生活習慣の問題なのか。課題をあぶり出し「根拠あるがん対策」につなげねばならない。

 殊に注力すべきは「共生」。中でも「ライフステージに応じたがん対策」は極めて重要。国は、高齢患者への治療中止を含めた指針作りや高額薬価の引き下げなど「医療費削減」に傾くが、高齢者のみならず小児、AYA(思春期と若年成人期)世代、働き盛りなど全世代、すべての患者を支える、きめ細かな相談支援や情報提供体制の拡充が欠かせない。誰も支援の手から抜け落ちることのないよう、切れ目のない対策を求めたい。

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