アメリカ合衆国の喫煙状況をさぐる
アメリカ合衆国の喫煙状況をさぐる
10/22(日) 11:06
米国18歳以上の喫煙率は17.0%
先進諸国では健康リスクを受けて喫煙率は漸減状態にある。アメリカ合衆国の実情を同国の医療保険関連の公的機関CDC(Centers for Disease Control and Prevention:疾病予防管理センター)の部局BRFSS(Behavioral Risk Factor Surveillance System)の公開値を元に確認する。なお今件における成人とは18歳以上、そして現時点での最新データは2016年分。
まずは調査時点でたばこを吸っている人の割合、つまり純粋な「現在喫煙率」。全体では17.0%との値が出ている。前年分2015年では17.5%だったので、1年間で0.5%ポイント減少している。
男女別では男性の方が喫煙率が高い。男女間の喫煙性向を思い返せば納得のいく結果ではある。興味深いのは他の属性別傾向で、一部イレギュラーなところもあるが、「若年層」「低年収」「低学歴」ほど喫煙率が高い傾向を示している。
「若年層」は若気の至りや健康に対する意識がまだ薄いのが、高めの値を示す要因だろう。「高年収」「高学歴」で喫煙率が低いのは、喫煙が社会的に敬遠されていることもあり「喫煙していると『たばこすら我慢できない』と軽んじられる」結果によるものと考えられる。
あるいは年収や学歴が上の人ほど生活環境が良好なものとなり、たばこ以外の娯楽をより多く選択できる結果かもしれない。見方によっては、そして健康などへの影響といった弊害を考慮しなければ、たばこはもっとも安易で安価な娯楽ともいえるからだ。
また、学歴と世帯年収が同じような動きを示しているのは、両属性が多分に連動性を有しているのも一因だと考えられる。
たばこへの姿勢を詳しく見ると
喫煙動向についてもう少し詳しく見たのが次のグラフ。喫煙しているのならどの程度なのか、喫煙していないのなら「経験無し」か「以前吸っていたが今は止めている」かを答えてもらったもの。非喫煙者のうち大体1/3程度は「昔は吸っていたが、今は禁煙している」状態なのが分かる。なおこちらはアメリカ合衆国全体の値は非公開で、調査が行われた州の公開値を元に加重計算をした結果のため、上記の結果とはいくぶんのずれが生じている。
女性は元々たばこを吸わない人が多い一方、男性はたばこを止めた人が多め。また当然ながら高齢者ほど「昔は吸っていたが今は吸わない」人が増え、歳を経るに連れてたばこを止めていく実情がうかがえる。
興味深いのは学歴の部分。学歴による「喫煙経験はあるが現在たばこを吸っていない人」の比率にさほど違いが無い。純粋に「今吸っている人」と「一度も吸ったことが無い人」との違いが、学歴上の差異に現れている。
なお、喫煙が法令で許される年齢だが、日本では20歳以上なのはご承知の通り。一方アメリカ合衆国では18歳以上となっている。2年ほど「大人」の概念が異なる点に注意してほしい。
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