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低所得の喫煙者に打撃 たばこ税増税で負担重く

低所得の喫煙者に打撃 たばこ税増税で負担重く

2017年12月28日

 二〇一八年度の与党税制改正大綱に、たばこ税の増税が盛り込まれ、たばこが今後、大幅に値上げされる見通しになった。たばこは増税による値上げが続いており、平均価格は二十年前に比べ二倍近い水準。追い打ちの値上げは、喫煙率が比較的高い低所得者には強烈な打撃となりそうだ。 (白井康彦)

 「何年か先には一カ月のたばこ代は千円ぐらい増えてしまいそう。その分、生活費を削るのはすごく苦しい」。こう訴えるのは東海地方のアパートで一人暮らしをする五十代男性。

 注意欠陥多動性障害(ADHD)と診断されている上に不眠症、うつの症状もあって会社勤めは長く続かなかった。七年前から生活保護を受けており、生活扶助費(日常生活費)は月七万二千円ほどだ。若いときに勤めていたパチンコ店が従業員にたばこを無料で配っていたことがきっかけで愛煙派に。以来、約三十年間、たばこを吸い続ける。

 最近愛用しているのは、加熱式たばこ。おおむね一日一箱のペースで、たばこ代は月額約一万四千円に上る。「食費を月一万円ぐらいに抑えざるを得ない」状況だという。

 禁煙を試みたことはあるが、成功したことはない。生活保護を受けていることを引け目に感じ、「周囲の目が気になって仕方ない」と男性。イライラした感情からたばこが手放せないという。二年前には、生活費が尽きてたばこが買えなくなったため、路上に落ちていた吸い殻を拾い集めて吸ったこともあった。「たばこを吸うと落ち着くんです。やめたくても、どうしてもやめられない」。男性がこぼした。

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 この二十年間、物価は安定しており、消費者物価指数も小動きだ。しかし、たばこは例外。平均的な小売価格の水準を示す価格指数(一五年平均=一〇〇)は、一九九六年平均が五三・三、二〇一六年平均が一〇一・二で約九割もの上昇だ=図。

 たばこ税増税は今後、段階的に実施され、紙巻きたばこ一本当たりの税額は二一年十月には今より三円増える。二十本入りの一箱四百四十円の商品は、増税分がそのまま小売価格に転嫁されると五百円になる。たばこ価格指数は、今よりさらに一割強上がりそうだ。所得に関係なく平等に値上げされるため、同じ喫煙者でも低所得者の方が負担は重くなる。

 一方、低所得者の喫煙率は高所得者に比べ高いとされる。厚生労働省が一〇年に実施した国民健康・栄養調査によると、男性の喫煙率は所得二百万円未満で37・3%、二百万円以上六百万円未満は33・6%、六百万円以上は27・0%だった。所得が低いほど喫煙率が高くなる傾向が見られた。理由ははっきりしないが、「低所得者はストレスの強い人が多い一方、禁煙に関する情報に接する機会が少ない」との指摘がある。

 七年前に禁煙に成功し、禁煙に至るまでの体験をブログにつづっている秋田市のファイナンシャルプランナー(FP)佐藤元宣さんは「ストレスがたまり、たばこに手が伸びることがあった。たばこ以外のはけ口を見つけておくことが重要だと身に染みて思った」と話す。「ただ、本人に努力を促すだけでは難しい。行政などが禁煙外来に通うことの有効性などを周知するべきだ」と強調している。

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