受動喫煙対策 罰則で規制 自民了承、今国会提出へ
受動喫煙対策 罰則で規制 自民了承、今国会提出へ https://mainichi.jp/articles/20180223/ddn/002/010/024000c
毎日新聞2018年2月23日 大阪朝刊
自民党厚生労働部会は22日、受動喫煙対策を強化する健康増進法の新たな改正案を大筋で了承した。昨年の厚生労働省案より規制は大幅に後退したが、喫煙者や施設管理者などに対し、罰則付きで受動喫煙防止を義務づけた。法律で罰則を設けるのは初めて。政府は3月上旬に閣議決定し今国会に提出する。
罰則は、都道府県などが指導や勧告、命令をしても改善されない場合のみ裁判所に通知して適用する。禁止されている場所での喫煙は、30万円以下の過料。禁止場所への喫煙設備の設置や、設備基準を満たさない喫煙室の使用は、施設管理者に50万円以下の過料とし管理者名の公表もできる。紛らわしい表示をしたり表示をはがしたりした場合も50万円以下の過料とした。
改正案は、事業所や店舗など多数の人が利用する施設は屋内禁煙を原則とし、喫煙専用室以外で喫煙できなくする。経過措置として、既存の飲食店は「個人経営か資本金5000万円以下」で「客席面積100平方メートル以下」の小規模店に限り、「喫煙」と表示をすれば当面喫煙を認める。また、学校や病院、行政機関などは屋内は全面禁煙とし、屋外の喫煙所のみ認める。喫煙できる場所に従業員など20歳未満の立ち入りを禁じる。
部会では、30平方メートル以下のバーやスナック以外を原則禁煙とする昨年3月の厚労省案を作成した塩崎恭久前厚労相が「近年の五輪開催国で飲食店で吸える国はない。『たばこのない五輪』という伝統を日本が初めて破ることになる」と強く反対した。
しかし、規制推進派の山東昭子・党受動喫煙防止議連会長が「いやいやだが容認」と述べ、超党派の受動喫煙防止議連会長を務める尾辻秀久参院議員も「ベストでないのは承知の上だが、そろそろ結論を」と理解を示した。今国会で成立しない場合、2020年の東京五輪に間に合わない恐れもあり「一歩でも前に進めるべきだ」との声が大勢を占めた。
政府はラグビー・ワールドカップが開幕する19年9月までに学校や病院、行政機関などで先行実施し、東京五輪前の20年4月に全面施行する方針だ。
また部会では、受動喫煙被害防止のための数値目標を盛り込まない「第3期がん対策推進基本計画」(17~22年度)も了承された。計画は昨年10月に閣議決定されたが目標部分のみ、調整がつかず先送りされていた。政府は近く閣議決定する。【山田泰蔵、阿部亮介】
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