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視標「たばこ対策」 自業自得ではない健康被害

視標「たばこ対策」 自業自得ではない健康被害

大阪国際がんセンター副部長 田淵貴大

 たばこほど、はっきりと有害性が証明されているにもかかわらず、社会に普及してしまったものはない。世界的にたばこの有害性が明らかになってから既に50年以上が経過しているが、たばこは禁止されるどころか消費を増やしている。

 これまでずっと、たばこの煙はあなた自身にも、あなたの家族にも友人にも、害をもたらしてきた。国全体においても、たばこによる被害額の方が税収よりも大きいと分かっている。

 あなたがたばこを吸って喜ぶのは、たばこ会社だけだ。私はあなたがたばこを吸って被害を受けるのは、あなたの自業自得だと思ってはいない。

 たばこ会社はたばこにアンモニアやメンソールなどを添加して、子どもや女性がたばこを始めやすくし、吸い始めるとすぐにニコチン依存症となるように仕向けてきた。

 また、たばこ会社は社会経済的に不利な状況の人を狙って、マーケティング戦略を展開してきた。たばこ会社の内部文書が開示され、そんなたくらみの存在が明らかになっている。

 英BBC放送のドキュメンタリーによると、1980年代初め、米国のたばこ会社はある芸能人を広告のイメージキャラクターにした。彼が一服していると会社幹部が「何だ、君、たばこなんて吸うのか」と言う。「吸わないんですか」と聞くと、幹部は「冗談じゃない」と首を振った。

 「喫煙権」なんて子どもや貧困層、黒人、愚かな人々にくれてやればいいと言い放った後、「1日当たり数千人の子どもを喫煙に引きずり込むことが君の仕事だ。肺がんで死ぬ喫煙者の欠員補充だ。中学生ぐらいを狙え」と語ったという。

 本当にひどい話である。たばこ会社は表向きは子どもにたばこを売らないとしながら、子どもに喫煙させることを仕事にしているのだ。なお、たばこ会社の子ども向け喫煙防止キャンペーンは、ほとんど効果のないことが分かっている。

 たばこ会社によって社会はゆがめられている。ストレス解消のために人はたばこを吸うと信じている人がいるなら、ぜひ伝えたいことがある。

 喫煙でストレスは減らず、むしろニコチン欠乏でストレスが増す。禁煙すると、ストレスを減らせるのである。ストレスは絶対悪ではなく、適度のストレスがモチベーションとなる場合もある。

 にもかかわらず、これまでずっとたばこ会社は「たばこよりも健康に悪いものがあるのでは」と人々に思わせるように仕向けてきた。

 たばこ会社は莫大(ばくだい)なお金をストレス研究に投じ「ストレスが健康に悪い。たばこはストレスを減らす」というストーリーを作った。ストレスがただ悪いものだという認識も、たばこ会社によってゆがめられたものだ。こうした事実については、数多くの証拠が報告されている。

 私の願いは人を大切にする社会をつくることであり、その第一歩として「たばこのない社会」の実現を目指している。たばこを吸っている方は、たばこ会社から搾取されている事実に気付いて、禁煙してほしい。そして自分自身も周りの家族も友人も、たばこの害から守ってほしい。

 (2017年11月22日配信)

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