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拡がる「タバコ害」の意識~生駒市45分ルールとモスバーガー禁煙化

拡がる「タバコ害」の意識~生駒市45分ルールとモスバーガー禁煙化

https://news.yahoo.co.jp/byline/ishidamasahiko/20180330-00083333/

石田雅彦  3/30(金) 12:41

 奈良県生駒市が職員に対し、喫煙後45分は市庁舎のエレベーターの使用禁止を打ち出して話題になっている。一方、チェーン店の約半分で分煙エリアを設けていたモスバーガーが全面禁煙化へ進む。受動喫煙防止対策の法整備が本格化する中、タバコの害に対する意識も大きく変化しつつある。

エレベーター45分ルールとは

 先日、石川県にある北陸先端科学技術大学院大学の「タバコを吸う人は喫煙後45分経たないと敷地内へ入れず、最寄り駅から運行されているシャトルバスにも乗れない」という独自の「45分ルール」について紹介した(※1)。このルール、あくまで喫煙者に対する啓発と行動変容をうながす目的のものだ。

 そんな中、奈良県生駒市が2018年3月27日、報道発表として「受動喫煙防止対策を強化」というアナウンスを出した(※2)。歩きたばこや路上喫煙の禁止強化や職員の喫煙禁止などを盛り込んだもので、規則ではないがタバコの害に対する啓発を目的としているが、その中に「喫煙後45分間はエレベーターの利用を禁止します。表示等により来場者にも協力を求めます」という項目があり話題になっている。生駒市の人事課に話を聞いた。

──この45分間という時間はどこからきているのか。

担当者「2014(平成26)年に市の担当者がタバコ問題の研修に行った際、専門家の先生から『喫煙者から出される呼気は、喫煙後45分程度経たないと総揮発性有機化合物(TVOC)が喫煙前まで戻らない』という科学的な背景をもとにしたお話しをうかがい、市の安全衛生委員会の議論と検討を経て今回の発表となりました。ちなみに、北陸先端科学技術大学院大学さまの45分ルールは市の検討後にうかがいました」

──エレベーター内というのはどういう理由か。

担当者「やはり密室になってしまうということで、それだけ三次受動喫煙の害が大きいと判断しました。現在は5階建ての市庁舎のエレベーターだけですが、ほかの市の施設にも張り紙などで啓発していこうと考えています」

──奈良県は喫煙率が低いが生駒市はどうか。

担当者「2016(平成28)年の人間ドックのデータや2017(平成29)年の特定健診のデータから得たものですが、721人を対象にした調査では男女合わせて22.7%、男性33.6%になっています」

 生駒市では当初、敷地内全面禁煙が議論になっていたが、国(厚生労働省案)の受動喫煙防止対策の内容がまだ定まらないため、市としての規制は保留しているという。また、奈良県の喫煙率は22.0%(平成28年の国民健康・栄養調査)だから生駒市は平均値あたりとなる。

 奈良県はもともと喫煙率が全国でも低い県だ。長く最下位という栄誉を誇ってきたが、最近になって滋賀県に抜かれ、全国2位になっている。奈良県には「禁煙マラソン」を行っている日本禁煙科学会の理事長である高橋裕子奈良女子大教授(京都大学大学院医学研究科特任教授)もいて、同教授が熱心にタバコ問題の講演を開いている影響も無視できないだろう。

モスバーガーも完全禁煙へ

 こうしてタバコの健康への害に対する意識が拡がる中、飲食チェーンも全面禁煙化へ大きく動いている(※3)。

 大手ファミリーレストランチェーンの「ロイヤルホスト」(ロイヤルホールディングス株式会社)は店舗内「完全禁煙」にし、大手ファストフードチェーンの「マクドナルド」(日本マクドナルド株式会社)は4年前から全面禁煙にしている。また、ファストフードチェーンの「ケンタッキー・フライド・チキン」(日本KFCホールディングス株式会社)は、全面禁煙化を目指しつつあり、ほぼ全店で禁煙になっているようだ。

 ほかの飲食チェーンも多くは禁煙化へ舵を切るが、モスバーガー(株式会社モスフードサービス)も今回、タバコ規制に関する基本姿勢を固めた。同社社長室広報IRグループによれば「禁煙化に対するお客様からの要望の高まり、スタッフを含めた受動喫煙の防止、健康志向のチェーン作りの理念に沿った取り組み」として「2020年3月末までに店内全面禁煙とする。ブースも不可とする。2018年4月以降の新店も上記に準ずる」とした。

 モスバーガーには現在(2018年3月末)、約1350店があるが、うち約650店がすでに禁煙店となっており、約90店のブース型店舗と約600店ある分煙型店舗を上記期日までに禁煙化する。また、転換費用については調整中とし、決算説明会や株主総会などで改めてアナウンスする予定という。

 通常国会が森友問題や公文書改竄問題などで紛糾する中、受動喫煙防止対策についての厚生労働省案も宙ぶらりんの状態だ。五輪開催地として、国より厳しい内容のタバコ規制を打ち出そうとしている東京都の動きも鈍い。業を煮やした自治体や飲食チェーンなどが、すでに先へ動いている。

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