電子たばこの規制延期で米国小児科学会らがFDAを提訴
電子たばこの規制延期で米国小児科学会らがFDAを提訴
2018年04月12日 AM10:00
電子たばこ規制の先延ばしでFDAを提訴、米学会など
米食品医薬品局(FDA)が予定していた電子たばこや葉巻(シガー)の規制を延期したのは違法であり、公衆衛生に脅威をもたらすとして、米国小児科学会(AAP)など複数の学会・団体が3月27日、米メリーランド州の連邦裁判所に提訴した。提訴したのはAAPのほか米国がん協会がんアクションネットワーク(ACS CAN)、米国心臓協会(AHA)、米国肺協会(ALA)、米国に本拠を置く反たばこ団体の「キャンペーン・フォー・タバコフリー・キッズ」など。
FDAは2016年8月、それまで規制の対象外だった電子たばこなどのたばこ製品について、安全性などに関するデータをまとめ、FDAによる承認を申請することを製造企業に求める新たな規制を発表していた。当初、2007年2月以降に発売された製品について2018年8月までの申請を要求していたが、FDAは2017年8月、この期限を延期すると発表。電子たばこは2022年8月、葉巻は2021年8月までに申請すればよいことになった。
これに対し、AAPなどのグループは「申請期限の延期は2009年に成立したたばこ規制法(家族の喫煙予防とたばこ規制法;Family Smoking Prevention and Tobacco Control Act)が定めるFDAの権限を逸脱したもの」と主張。また、パブリックコメントを募集して国民の意見を考慮しないまま延期を決定し、その正当な理由も公表されていないことは行政手続法に抵触すると訴えている。
同グループは、先ごろFDAが発表した紙巻きたばこのニコチン含有量に上限を設ける規制案については賛同の意を示していた。しかし、電子たばこや葉巻などについては規制が先延ばしにされることで、リスクやベネフィットに関する十分な情報がないままこれらの製品が販売され続けることになることを問題視。特に電子たばこ製品には小児やティーンエージャーをターゲットにしたフレーバー付きの製品も多く、こうした製品をきっかけにたばこ依存症になるリスクがあるとして「FDAは健康に有害な可能性があるこれらのたばこ製品を市場から排除すべきだ」と主張している。
また、同グループは「どの製品は禁煙を促すことに役立つのか、あるいはどのような販売方法であれば若者をリスクにさらさずに済むのかといった点について理解し、一般の人々に教育するには科学的データの蓄積が必要だ。しかし、規制の延期はそれを阻むことにもなる」とも警告している。
なお、AP通信によると、2017年に延期が発表された際、FDA長官のScott Gottlieb氏は「電子たばこのデータをレビューするにはFDAと電子たばこ業界の双方の準備にもう少し時間が必要であるため、延期せざるを得ない」と説明していた。
さらに、同氏は今年の3月中旬、AP通信に対して「子どもの目を引きやすい形で販売されている製品に対しては、早急に対処したい」との意向を示した。一方で、「電子たばこなどの新型たばこは成人が従来の紙巻きたばこを止めるのに役立つ可能性がある」との考えを示し、「適切な評価を行わないままイノベーションの可能性を潰すことは避けたい」と話している。(HealthDay News 2018年3月28日)
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