「加熱式たばこ」から発がん性物質を6つ検出 JTは「健康被害は12%以下」と回答
「加熱式たばこ」から発がん性物質を6つ検出 JTは「健康被害は12%以下」と回答
2018年07月02日 06時25分</p> 東京五輪に向け、禁煙化、分煙化は加速。肩身が狭い愛煙家も多いだろう。そんなご時勢で、急激に浸透しているのが「加熱式たばこ」。副流煙や臭いが出ず、周囲への迷惑が少ないうえに、タールなどの有害物質も大幅カットという触れ込みで、健康を気遣う愛煙家に大人気だ。
ところが、衝撃的なニュースが飛び込んできた。「韓国の行政機関である食品医薬品安全処が、韓国国内で販売中の加熱式たばこの調査を実施しました。フィリップモリス社の『アイコス』、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)コリア社の『グロー』、韓国たばこ最大手・KT&Gの『リル』の3製品を対象に、ニコチンとタール、WHOが低減を促す9つの有害物質の含有量を分析。その結果、発がん性物質を6つ検出。タールやニコチンも、紙巻きと比べて特に少ないわけではなかったというんです」(全国紙社会部記者)
その報告によると、ニコチン含有量は1本当たりの平均で、アイコスが0.5ミリグラム、グローが0.1ミリグラム、リルが0.3ミリグラム。一方のタールも、アイコスが9.3ミリグラム、グローが4.8ミリグラム、リルが9.1ミリグラムという結果が出たのだという。「これは一般の紙巻きたばこと同程度の量です。加熱式たばこのパッケージには、紙巻きたばこのようにニコチンやタールの含有量は記載されてないので、その数字に驚いた人も多いでしょうね」(前同)
さらには、こんな結果も。「ベンゾピレンやベンゼンなどの発がん性物質が含まれていると指摘。つまり、加熱式たばこが紙巻きたばこより害が少ないという根拠はないとの見解を示したんです」(同)
はたして、これは事実なのか。実際に加熱式たばこのメーカーを直撃してみた。まず、加熱式たばこプルーム・テック(今回の調査の対象外)を展開する、日本のたばこ最大手・JTに話を聞いてみると、「プルーム・テックはWHOが指定する9物質が紙巻きたばこと比較して、99%除去されています。健康被害に関しても、12%以下という安全性になっている。これが当社製品のデータです」(JT広報) 発売当初の謳い文句そのままの回答だった。
また、今回、ヤリ玉に上がったアイコスに関してフィリップモリス・ジャパンの広報は、米本社のホームページに韓国の調査を否定する見解を示しているとのみ、メールで回答。また、同カスタマーセンターは、「マスコミ対応はできない」と前置きしたうえで、「加熱式たばこは、紙巻きとは違うために、ニコチンやタールの含有量を表記していません。ただ一般的には、ニコチンやタール、発がん性物質は、紙巻きたばこと比較して、90%程度削減されています。ですから、韓国からのデータとの違いについては、なんとも申し上げられません」
いずれも、今回の報道への対応は、かなり慎重になっているようだ。「加熱式たばこの有害性については、これまでも世界各国の研究機関から報告されています。しかし、検査方法もまちまちで、説得力に乏しいものも多い。今回も、健康被害を実証する決定的な根拠は、今のところ報じられていません」(医療ジャーナリスト)
愛煙家にとっては気になる加熱式たばこ騒動。煙は出ないのに、すっかり煙に巻かれてしまった。
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