五輪他都市に周回遅れ 受動喫煙、対策法が成立 世界に誇れる厳しさなく
五輪他都市に周回遅れ 受動喫煙、対策法が成立 世界に誇れる厳しさなく
https://mainichi.jp/articles/20180728/dbg/048/040/006000c
15歳のニュース2018年7月28日
他人が吸うたばこの煙(けむり)を吸わされる受動喫煙(じゅどうきつえん)の対策を強化する改正健康増進法が成立した。たくさんの人が集まる建物内を罰則(ばっそく)付きで原則禁煙とする初めての法律で、2020年の東京五輪・パラリンピックに規制を促(うなが)された。だが、例外扱(あつか)いの小さな飲食店も多いとみられ、世界に誇(ほこ)れるような厳しいレベルに達していない。
改正法に基づいて、来年夏をめどに学校や病院、役所などの建物は、屋内が完全に禁煙になる。全面施行(しこう)は20年4月からで、飲食店や職場などが原則禁煙になるが、煙が外に漏(も)れない喫煙専用室は認められる。悪質な喫煙者には最大30万円、施設管理者には最大50万円の過料が科される。
例外とされるのは、一定の規模(資本金5000万円以下で客室面積100平方メートル以下)より小さく、既(すで)にある飲食店で、店先に「喫煙可」などと表示すれば、たばこが吸える。飲食店の55%が例外になるという試算がある。6月には東京都が、飲食店の広さに関係なく、従業員を雇(やと)っている飲食店は全て原則禁煙とする受動喫煙防止条例を制定した。都内の飲食店の84%でたばこが吸えなくなるとされるのに、国の規制は緩(ゆる)い。飲食店は例外なしの禁煙にする予定だったが、売り上げが減るのを心配する飲食業界や自民党内からの反対があり、後退した。
世界保健機関(WHO)が各国の禁煙義務について調べた4段階評価によると、日本は法改正しても最低ランクから一つ上がるのにとどまる。国際オリンピック委員会(IOC)とWHOは、10年に「たばこのない五輪」を進めることで合意した。12年夏のロンドン、16年夏のリオデジャネイロなどの五輪開催(かいさい)都市は屋内禁煙を義務付け、飲食店も完全禁煙にした。こうした都市に国や東京の対策は出遅(でおく)れていて、追いついてもいない。
◆喫煙は20歳未満の禁止維持
受動喫煙が原因で死亡 1.5万人/年
たばこは人間の健康にどのような影(えい)響(きょう)をもたらすのか。厚生労働省の検討会が2016年にまとめた報告書などによると、たばこの煙(けむり)には、発がん性があると報告される物質が約70種類もある。たばこを吸うと、肺からニコチンが吸収され、脳の回路に作用して快感を引き起こし、依存性(いそんせい)を高める。日本人の年間死亡者は、喫煙(きつえん)者が約13万人で、受動喫煙によっても約1万5000人に上ると推計されている。
「受動喫煙との因果関係が十分」と判定される病気としては、肺がんや脳卒中などが挙げられる。妊婦(にんぷ)本人の喫煙は、早産、低出生体重、赤ちゃんの発育の遅(おく)れについて「因果関係が十分」とみなされている。
進むたばこ離れ 5.5ポイント減
厚労省の調査では、16年の喫煙率は18.3%で、10年前に比べて5.5ポイント減り、たばこ離(ばな)れが進む。男性が30.2%で、女性の8.2%を大きく上回る。紙巻きたばこの販売(はんばい)数量は1996年度の3483億本がピークで、16年度には1680億本に落ち込(こ)んだ。成人年齢(ねんれい)を現行の20歳から18歳に引き下げる改正民法が6月に成立し、22年から18歳と19歳も成人になる。ただし、喫煙については飲酒やギャンブルとともに20歳未満の禁止が維持(いじ)された。
税収 2兆1200億円
代表的な紙巻きたばこ1箱(20本入り)でみると、定価440円のうち、55.7%に当たる244.88円が国・地方のたばこ税だ。16年度の国・地方のたばこ税収は2兆1200億円に上る。
■KEY WORDS
【世界保健機関(せかいほけんきかん)(WHO)】
全ての人々が最高の健康水準に到達(とうたつ)することを目的として1948年に設立された国連の専門機関。本部はスイス・ジュネーブにあり、190カ国・地域以上が加盟。毎年5月31日を「世界禁煙(きんえん)デー」に定めるなど、たばこ対策に力を入れている。
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