妊娠期や出生後の喫煙、子どもの聴覚発達に影響…京大
妊娠期や出生後の喫煙、子どもの聴覚発達に影響…京大
https://resemom.jp/article/2018/07/24/45830.html
2018.7.24 Tue 16:45
京都大学の研究グループは2018年7月23日、妊娠期の喫煙や出生後の受動喫煙が、子どもの聴覚発達に影響を与えることを見出したと発表した。妊婦や乳幼児のいる家庭に禁煙を促す必要性が再確認される結果となった。
京都大学医学研究科の川上浩司教授、吉田都美特定助教、同博士課程学生のCalistus Wilunda氏(現・国立がんセンター特任研究員)らの研究グループが、神戸市との共同研究により実施した。
研究対象は、2004年から2010年に神戸市の3歳児健診を受診した母子5万734組。後ろ向きコホート研究という疫学研究のデザインを用いて、妊娠期に喫煙のない子どもに対し、妊娠期に喫煙のある母親の子どもがどの程度聴覚障害疑いの判定を受けやすくなるかを統計的な手法で検討した。
その結果、妊娠期に喫煙のない母親に対し、妊娠期に喫煙のある母親の子どもは1.75倍程度、聴覚障害の判定を受けやすいことがわかった。出生後4か月に目前で喫煙する同居者がいる場合は、聴覚障害の判定はさらに2.35倍に上昇した。
研究グループによると、研究の結果は胎児の蝸牛形成にニコチンが影響を与えている可能性を示唆するもの。生後の受動喫煙による直接的な影響は未解明だが、難聴の原因の1つである中耳炎がタバコの副流煙があると治りにくいとされていることから、生後の受動喫煙が聴覚に影響していることも考えられるという。
研究結果により、妊娠期の母親や幼い子どもがいる家庭で特に禁煙を促す必要性が再確認されたことから、研究グループでは「妊娠を考える女性や乳幼児がいる家庭に対して啓発を行うことも効果的と考えられる」としている。今後は、妊娠期の喫煙や生後の受動喫煙が、アレルギー疾患に与える影響についても検討を予定している
この研究成果は、2018年6月5日にアメリカの国際学術誌「Paediatric and Perinatal Epidemiology」のオンライン版に掲載された。
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