フィリップ・モリス株、加熱式たばこに「リスク」 アイコスに積極投資も競争は激化
フィリップ・モリス株、加熱式たばこに「リスク」 アイコスに積極投資も競争は激化
https://jp.wsj.com/articles/SB10366962949814344587904584357960806573606
By Spencer Jakab 2018 年 7 月 20 日 13:26 JST
――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」
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たばこ大手フィリップ・モリス・インターナショナルに関して言えば、煙がないところにも火種はあるようだ。
同社はまたしても、いずれ紙巻きたばこに取って代わることになるはずの商品によってダメージを受けた。フィリップ・モリスは4-6月期(第2四半期)利益がアナリスト予想を優に上回ったが、通年の見通しを引き下げた。同社が「リスクを低減する可能性のある製品(RRP)」と呼ぶ商品、主に無煙たばこ「IQOS(アイコス)」の低迷が見込まれることが理由だ。たばこを米国外でのみ販売している同社はドル高によっても打撃を受けているとみられている。
株主の懸念ももっともだろう。数カ月前に1-3月期(第1四半期)決算が発表されると、同社株は決算発表後として最大の下げ幅を記録し、19日午前にも5%近く急落した。この1年間で同社の時価総額は600億ドル(約6兆7500億円)以上吹き飛んだ。
その背景にはフィリップ・モリスの投資先としての性質が変化したことがある。喫煙が保健当局の批判にさらされ、たばこがかつてないほど厳しく課税されているとはいえ、それは「心地良い衰退」を意味していた。例えば2012年には、同社は自社株買いや配当を通じて株主に120億ドル(当時の時価総額の10%近く)を還元し、10億ドル強の投資をしていた。150年前に生まれ、末期的な衰退に陥るたばこ事業には、大規模な新規投資など必要ないのである。
ところがこの12カ月間、同社は2012年当時よりも設備投資を50%増加させ、株主還元を半減させた。19日には増配も発表されたが、それによって同社のRRPへの危うい賭けを巡る懸念が大幅に緩和されることはなかった。
少なくとも今は利益率が比較的高いことから、投資家はRRPを楽観視していた。しかし、そうした商品は一部の保健当局による厳格な審査や厳しい競争にも直面している。投資家にとって特に後者は重要だ。
フィリップ・モリスによると、同社の加熱式たばこの市場シェアはフィリップ・モリス・ブランドのたばこの市場シェアと同じくらいだという。つまり、国際市場ではわずか1.6%である。同社は新興企業との競争にもさらされている。米国では、わずか10年前に創業した企業から分離し、プライベート・エクイティ(PE)投資会社から出資を受けるジュール・ラブズ(Juul Labs)が、RRPのなかでは群を抜いてリードしている。
現在、配当利回りが5.8%のフィリップ・モリス株を買うこと自体、リスクを低減する案と言える。とはいえ、マールボロ・マンが馬に乗って夕日の中へと優雅に去っていく代わりに、疑問が残る新商品に大金を注ぎ込み過ぎてしまうという危険も残っている。
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