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喫煙者の子が最も危ない!「3次喫煙」の恐怖 子どもの前での喫煙は虐待に等しい

喫煙者の子が最も危ない!「3次喫煙」の恐怖 子どもの前での喫煙は虐待に等しい

https://toyokeizai.net/articles/-/244866

2018/10/24 15:00

大人であれば、他人のたばこの煙を吸わずにすませるための選択肢はいろいろとある。私の場合で言えば、自宅や自家用車は禁煙と定めているし、そもそも友人や近い親族の中に喫煙者はいない。町中で喫煙者に出会った場合も、そばを通りたくなければ道の反対側に渡ればいい。外食の際はオープンカフェのような席は避けて屋内の席を選び、店やオフィスビルの外でたばこを吸っている人のそばを通るときは息を止めている。

だが子どもの場合、親などの親族、ベビーシッターや保育施設のスタッフ、スクールバスの乗務員や教師といった身近な存在がたばこを吸っていたら、自分ではどうしようもない。

家具や衣服などについた有害物質

たとえ子どものいる前ではたばこに火を付けなかったとしても、喫煙者と接触のある子どもたちは「3次喫煙」という形で家具や衣服、皮膚などに残った有害物質にさらされている。たばこを吸わない人であれば、手を伸ばせば届く範囲に喫煙者がいればたばこの臭いに気づくはず。そんな人に大事な赤ちゃんを抱かせたいと思うだろうか?

たばこを吸うのはアメリカの成人の4人に1人にすぎないというのに、継続的に2次喫煙とも言われる受動喫煙、または3次喫煙を余儀なくされている子どもは全体の半数に上る。専門家によれば、そうした子どもたちの多くは現在から将来にわたって健康被害を受け続けることになる。

受動喫煙の害は科学的に証明されている。アメリカ小児科学会(AAP)によれば、受動喫煙が原因の肺がんで死亡する非喫煙者の数は年に約3000人、心臓病では数万人に上る。

たばこを燃焼させることで出る煙には約4000種の化学物質が含まれているが、その中には有害なものも多く、うち50種には発がん性があることが知られている。喫煙者とともに暮らす赤ちゃんは乳幼児突然死症候群(SIDS)になるリスクが高い。私も生後7カ月の赤ちゃんがSIDSで死亡した例を知っているが、この場合も母親の喫煙が原因だったとされている。

AAPの報告によれば、受動喫煙をしている子どもは耳の感染症や咳や風邪、気管支炎や肺炎、虫歯になりやすいという。また、喘鳴や鼻づまり、頭痛、咽喉炎、目の炎症や声がれを起こしやすく、呼吸器感染症を起こすとなかなか治らない傾向があるという。学校を欠席したりスポーツの試合に出られなかったり、友達との楽しいイベントを逃すことも多いとされる。

たぶん、最も深刻なリスクにさらされているのはぜんそくぎみの子どもだろう。発作の回数が多いうえに発作そのものも重くなる傾向にあり、救急医療のお世話になったり入院することも多いという。私のおいも何度も生命の危険を伴うぜんそくの発作で病院に搬送されたが、母親はたばこをやめなかった。子どものそばで吸うこともあった。

これまでに挙げたのはあくまでも短期的なリスクだ。受動喫煙が子どもに与える長期的なリスクとしては、肺の発達不全や、子ども自身が喫煙者になりやすい傾向が考えられる。たとえたばこを吸わなかったとしても、心臓病や肺がん、白内障、リューマチ性関節炎を発症するリスクがほかの人より高くなる。

2次喫煙より被害をもたらす可能性も

賢明な親であるならば、喫煙が許されているいかなる場所にも子どもを近づけないよう努めるべきだ。たとえそのときその場でたばこを吸う人がいなかったとしてもだ。理由は、そうした環境中にはニコチンを初めとするたばこに含まれる有害物質が煙が消えた後も長く残っており、そうした3次喫煙による健康被害への懸念が高まっているからだ。

ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)が発行する『タバコ・コントロール』誌で先頃、シンシナティ大学の研究チームが発表した論文にはこう書かれている。「私たちの発見からは、周囲の誰もたばこを吸っていないときでも、(それ以前に吸った)たばこの煙の有害物質が子どもの手についてしまうことがうかがえる」

研究チームは副流煙の残存物が「ほこりや物体、家庭内のもののさまざまな表面、喫煙者の皮膚や衣類に蓄積している」ことを挙げるとともに、環境中に残存したたばこの有毒物質は子どもの手から口、体内へと容易に入り込んでしまうと指摘している。3次喫煙によって子ども、特に乳幼児が抱えることになる合併症リスクは大人よりも深刻だ。理由は、屋内でたばこの有毒物質で汚染されたものに囲まれて過ごす時間が長いからだ。

研究チームは父母もしくはそのいずれかが喫煙している25人の幼児について、手に高レベルのニコチンがついている証拠を発見した。これらの子どもたちはたばこの煙の残存物にさらされたことと関係が疑われる病気で病院に担ぎ込まれた経験があった。生活し遊ぶ場所で3次喫煙の有毒物質や周囲の喫煙者からの副流煙にさらされ、子どもたちにとってはダブルパンチだ。

さらに研究チームは、3次喫煙が2次喫煙よりも健康に害をもたらす可能性を指摘した。3次喫煙には「副流煙では見つかっていない新たな汚染物質」が含まれているうえ、「(汚染物質と接触する)いくつものルートがあり、汚染物質にさらされている時間もずっと長い」からだ。

AAPの学術誌『小児医学』では、7389人の非喫煙者の青年を対象にしたシンシナティ大学の別の研究が発表されている。これによれば喫煙者と同居していて自宅で3次喫煙にさらされている人は、息切れを起こしやすく運動をつらく感じる傾向が強かったという。調査対象者にぜんそくの既往はなかったが、健康状態が非常にいいと答えた人は比較的少なかった。また、学校を病気で休んだり、救急医療を利用したり予約なしで医者にかかる割合も高かった。

「(3次喫煙に)さらされている子どもや青年が救急医療を受ける率は最大で(そうでない人々の)3.5倍だ」と、論文の主著者であるアシュリー・メリアノスは書いている。

喫煙は子どもに身体的被害を及ぼす

もちろん、最も深刻なのは両親が子どもたちの前でも喫煙しているようなケースがもたらすリスクだ。ノースカロライナ大学チャペルヒル校医学大学院の家庭医療学のスペシャリストであるアダム・ゴールドスタイン医師に言わせれば、これは児童虐待に等しい。

「社会は未成年者がアスベストやヒ素やアルコールや鉛にさらされることには神経を尖らせるくせに、たばこの煙にさらされることはまるで別問題であるかのような対応だ」と彼は言う。「(たばこの煙は)子どもたちの健康に有害だ。量が多ければ多いほど害になる。どこまでなら安全ということもない」

家庭医療学紀要の論説でゴールドスタインは、5歳と7歳の子どものいる親に対し、3年にわたって少なくとも10回も禁煙を勧めたという経験を語っている。「子どもたちは耳の感染症や咳、気管支炎やぜんそくで繰り返し受診していたからだ」

あるときなど、下の子が肺炎を起こして人工呼吸器が必要なほど悪化したにもかかわらず「両親は禁煙や禁煙のための医薬品、たばこの煙に子どもたちをさらさないための対策についてもわれわれと話し合おうとはしなかった」という。

後で思えば、児童虐待が疑われると福祉当局に連絡すべきだったと彼は述べている。親の喫煙が子どもに身体的な危害を及ぼしていたからだ。

(執筆:Jane E. Brody記者、翻訳:村井裕美)

(c) 2018 New York Times News Service

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