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妊娠中の“受動喫煙”めぐる体験談が話題に、妊婦と胎児への影響とは? 医師に聞く

妊娠中の“受動喫煙”めぐる体験談が話題に、妊婦と胎児への影響とは? 医師に聞く

https://news.nicovideo.jp/watch/nw3966071

2018/10/03 06:10

 タバコが妊婦と胎児にもたらす影響について先日、SNS上で話題になりました。妊娠中の喫煙は胎児に悪影響を及ぼし、先天異常の原因となることが知られています。しかし、受動喫煙による影響については、喫煙者・妊婦ともに、正しく理解していない人も少なくないようです。

 SNS上では「妊娠中に会社の飲み会に顔を出した時、上司が無断でタバコを吸い始めて驚いた」「妊娠中、お酒は飲まないけど全面喫煙可の居酒屋によく行っていた」といった体験談に対し、「妊婦の目の前でタバコを吸うなんて信じられない」「妊婦は喫煙できる店に行っちゃダメ」「認識が甘すぎる」など、さまざまな声が上がっています。

 受動喫煙は、妊婦と胎児にどのような影響を及ぼしうるのでしょうか。医師の尾西芳子さんに聞きました。

喫煙者本人ほどの害ではない

Q.まず、妊婦自身が喫煙した場合、母体・胎児にはどのような影響があるのでしょうか。

尾西さん「妊娠中にタバコを吸うとニコチンの作用で血管が収縮し、子宮や胎盤の血流が減ったり、一酸化炭素によって胎児が低酸素状態となることで、流産や早産、死産のリスクが高まったりします。

さらに、妊娠高血圧症や前置胎盤、胎盤早期剥離といった妊娠合併症のリスクや、産まれてくる赤ちゃんが小さい低体重出生児や、産後の乳幼児突然死症候群のリスクも増加します」

Q.妊婦が受動喫煙した場合の影響についてはどうでしょうか。

尾西さん「主流煙(喫煙者本人が数煙)よりも副流煙(受動喫煙者が吸い込む煙)の方が有害物質の量は多いですが、周りの空気で薄まるため、喫煙者本人ほどの害ではありません。ただし、受動喫煙の場合も喫煙しているのと同様に胎児への悪影響があります」

Q.近年は電子タバコも普及していますが、妊婦・胎児への影響はどのようなものでしょうか。

尾西さん「電子タバコは『リキッド』と呼ばれる液体を水蒸気化させ、その蒸気を吸うものです。タールや一酸化炭素、ニコチンなどの有害物質が“軽減”されるというのが売りですが、ゼロというわけではないため注意が必要です。

また、最近人気の『アイコス』『プルームテック』などは電子タバコとは違い、タバコの葉を使用した加熱タバコです。ニコチンはしっかり含まれているため、胎児へのリスクは一層深刻です。

妊婦さん自身の喫煙だけでなく、受動喫煙も同様ですので、臭いがないことにだまされないようにしてください」

Q.妊娠中、タバコとの関わり方で気を付けるべきことはありますか。

尾西さん「お母さんが妊娠初期に喫煙していると、子どもの学童期の肥満やADHD、成人してからの生活習慣病のリスクが増加すると報告されています。つまり、妊娠中だけでなく、子どもの未来に関わってくる問題です。

また、出産後に赤ちゃんがタバコにさらされると、乳幼児突然死症候群、ぜんそく、中耳炎、IQ低下などの悪影響があるため、子どもの将来を見越してタバコとの関わり方を考えましょう。

換気扇の下や室外ならば、タバコを吸ってもいいという人もいるかもしれませんが、煙の害を完全には取り除けない上、吸った後3分程度は、吐く息の中にタバコの成分が残っています。妊婦さん本人だけでなく、周囲の人の配慮も必要です」

ライフスタイルチーム

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