【健康長寿・禁煙(4)】店内の受動喫煙防ぐ 来店者数影響なし
【健康長寿・禁煙(4)】店内の受動喫煙防ぐ 来店者数影響なし
http://www.minyu-net.com/kenkou/cyoujyu/FM20181115-325516.php
2018年11月15日
「禁煙のお店ではないのですね。残念です...」
福島市五月町のそば店「蕎麦人(そばんちゅう)」は、ある女性客の一言がきっかけで全席禁煙に踏み切った。店主の菅野裕一さん(43)は非喫煙者。調理場の真上に換気扇があるため、カウンター席でたばこを吸われると煙の通り道に顔がぶつかり、息が苦しくなった。それでも我慢していたが、女性客からの率直な意見に「やっぱりたばこの煙を嫌う人は多いのか」と思い至る。
分煙から全席禁煙に変え、店先に灰皿を準備した。それから半年以上が過ぎ、「禁煙にして良かった」と菅野さんは考える。「作業がしやすくなり、来店者数の影響もない。むしろ『禁煙の店なのでまた来ます』と声を掛けられることがあり、大好評です」
大手も取り組み開始
7月に職場や飲食店など多くの人が集まる建物内を原則禁煙とする改正健康増進法が成立。2020年4月の全面施行に向け、大手外食チェーンも軒並み禁煙化に取り組んでいる。
関東圏を中心に居酒屋チェーンを展開する串カツ田中(本社・東京)は、大半の店舗で全席禁煙を導入。会社員らの客足は減ったがファミリー層が増え、全体の客数は伸びている。
「店内を全面禁煙にしても『売り上げや来客数に影響がない』とする論文は世界中の研究者が発表している。不安がらずに思い切って決断してほしい」
こう話すのは日本禁煙学会理事で、みちや内科胃腸科(いわき市)の斉藤道也院長(56)。喫煙は年間約13万人の死亡に関連するとされるが、この数字とは別に、他人のたばこの煙を吸うこと(受動喫煙)による死亡者の推計は約1万5000人に上る。「受動喫煙の影響は大人では脳卒中や肺がん、赤ちゃんだと突然亡くなる乳幼児突然死症候群が起こりやすくなる」。国の17年調査によると、非喫煙者の4割が「飲食店で受動喫煙した」と答えている。
「吸わない人を守る」
斉藤院長は保険認可されて間もない06年に禁煙外来を開設。これまで600人以上を診療し、市民公開講座でもたばこの害を訴え続ける。禁煙支援を熱心に行うのは「喫煙者が減らないと非喫煙者を守ることができない」という思いからだ。
最新調査では県内成人男性の喫煙率は35.2%で、全国6番目に高い。喫煙率の高さは、受動喫煙の恐れへとつながる。
「禁煙は何歳から始めても遅くはない」と斉藤院長は指摘する。「50代や60代からの禁煙であろうと、ずっと吸い続ける人より寿命が延びるというデータがある。『もう年配なのでいい』と諦めないで周囲と自分のためにも、思いついたらきっぱりと禁煙してほしい」
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