7月から受動喫煙対策強化 熊本大、敷地内「禁煙」の対応に苦慮
7月から受動喫煙対策強化 熊本大、敷地内「禁煙」の対応に苦慮
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2019/1/11 16:00
受動喫煙対策の強化を目的とした健康増進法の改正で、7月から病院や教育機関などは敷地内が「原則禁煙」となる。昨年11月に総務省から受動喫煙対策の強化を求められた熊本大では既に検討が始まっているが、賛否の意見が百出している。
文や法、工学部などがある黒髪地区キャンパスには13カ所の喫煙場所がある。昨年8月、学生から総務省九州管区行政評価局に「たばこの煙が学生食堂まで入ってきて困る」との行政相談が寄せられ、同局は大学側に対策強化を求めた。
付属病院があり、全面禁煙となっている本荘北キャンパスを除く黒髪、本荘中・南、大江の3キャンパス内では喫煙場所のほかに一部教職員の個室でも喫煙できる。しかし法改正で屋内は全面禁煙、屋外に喫煙場所を設ける場合も受動喫煙防止の施設が必要となる。
労務課の吉村章志副課長(59)は「この際、敷地内を全面禁煙にとの意見もあるが、喫煙する学生たちがキャンパス外に出れば、むしろ近隣住民に迷惑がかかるのでは」と危ぶむ。施設の整備の予算も現時点では不透明で「3月までには方針を決めたいが…」と悩ましげだ。
1日10本は吸うという同大理学部1年の男子学生(20)は「喫煙場所を残してもらわないと授業の合間に灰皿がある近くのコンビニまで行かないといけなくなる」。一方、吸わない工学部2年の女子学生(19)は「喫煙場所の近くを通ると臭いが気になる。申し訳ないけど敷地内は全面禁煙を」と話す。
厚生労働省健康課は「法改正は望まない受動喫煙を防ぐためのもの。適正に対応してほしい」としている。(太路秀紀)
●県内の他大学でも悩み 締め出していいものか…、健康被害考える必要ある
学内喫煙をどうするか、との悩みは熊本県内の他の大学でも同様だ。
県内では、屋外の指定場所でのみ喫煙できる大学が大半。今後は敷地内を全面禁煙にするか、指定場所での受動喫煙防止施設の整備が必要となる。
「たばこを吸う側の権利もあるし、完全に締め出していいものか…」と熊本市東区の県立大総務課。玉名市の九州看護福祉大は2016年から敷地内を全面禁煙にした。同大は「全面禁煙して終わりではなく、学生への説明・指導を続け、理解を得ることが必要」と話す。
熊本保健科学大(熊本市北区)は県内でいち早く、10年4月から敷地内を全面禁煙に。保健医療を学ぶ機関として「喫煙そのものの健康被害について考える必要がある」との信念からだという。
喫煙場所を段階的に閉鎖。学生らに敷地内だけでなく周辺でも喫煙しないよう求めた。当初は徹底せず、吸い殻のポイ捨ても目立ったが、教職員らで拾い歩くなど、学生らに指導を重ねてきたという。学務課の坂元美里さん(41)は「全面禁煙の効果は上がっている。諦めないことが必要です」と力を込める。(太路秀紀)
(2019年1月11日付 熊本日日新聞朝刊掲載)
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