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見た目はたばこ、でも規制なし…電子吸引器、悪用の恐れも

見た目はたばこ、でも規制なし…電子吸引器、悪用の恐れも

https://www.yomiuri.co.jp/local/kansai/news/20190223-OYO1T50000/

2019/02/23 15:00

 見た目は「加熱式たばこ」と似ているが、全く別物だ。香料入りの溶液の蒸気を楽しむ「ベイプ」と呼ばれる海外製の電子吸引器を売る専門店が、繁華街で増えている。国内法ではたばことみなされず、販売も使用も規制はない。様々な風味の液を自由に入れ替えられるのが人気だが、大麻などの薬物が混じったものも相次いで見つかっている。

 ◇欧米でブーム

 白い蒸気が漂い、甘い香りがたちこめる。

 昨年夏にオープンした大阪市天王寺区の専門店には、米国製や中国製の吸引器と、溶液が並ぶ。マンゴーやピーチ、チョコレートやミント、ヨーグルトなどの風味があり、併設されたカフェで試し吸いもできる。

 「たばこと違っていろいろな香りがある。吸い殻が出ないのもいい」。大阪府茨木市から来た常連客の男性(35)は、満足そうに蒸気を見上げた。

 ベイプは充電式で、欧米の若者を中心にファッション感覚で使う人が増え、世界で販売される溶液は1000種類以上。吐く蒸気で様々な形を作って遊ぶ愛好家もおり、技を競う大会まで開かれている。

 海外では、たばこに含まれる成分のニコチン入り溶液も流通。日本では、ニコチンは毒物に指定されているため医薬品医療機器法で販売が規制されているが、個人輸入は違法ではなく、インターネット上で簡単に手に入るという。

 ◇男子高校生5%使用

 世界保健機関(WHO)の報告書(2016年)によると、ベイプの一部の蒸気に有害物質が含まれることが確認され、気管支の炎症を引き起こすこともある。たばこより有害性は低いとされるが、十分な研究が進んでおらず、人体への影響はよくわかっていない。

 日本では、たばこは「葉タバコを原料とするもの」とたばこ事業法で定義され、製造・販売は限られた事業者にしか認められていない。「IQOS(アイコス)」などの加熱式たばこも、紙巻きと同じように事業法の対象となる。

 紙巻きも加熱式も、未成年者喫煙禁止法で20歳未満への販売規制があり、利用者側は、健康増進法で受動喫煙防止のため、周囲に配慮する義務がある。

 一方、ベイプは「電子たばこ」とも呼ばれるが、こうした法律は適用されない。ニコチン入り溶液については昨年、無許可で販売していた男を、大阪府警が医薬品医療機器法違反容疑で逮捕したが、使用は未成年でも違法ではない。

 厚生労働省研究班(代表=尾崎米厚・鳥取大教授)が2017年度に行ったアンケート調査では、ベイプの使用経験は男子高校生で4・9%に上った。

 ◇見分けつかず

 周囲からは何を吸っているのか分からず、一部で違法薬物の使用に悪用されている疑いも出ている。

 熊本県警は昨年春、県内の男女の関係先を捜索したところ、ベイプの吸引器とともに押収された溶液から覚醒剤の成分が検出された。男女は、購入した溶液に粉末の覚醒剤を混ぜて吸っていたとみられる。

 「大麻リキッド」と呼ばれる溶液の密輸も各地で相次いで摘発されており、昨年7月には、米ロサンゼルスから関西空港に届いた郵便物の中から、税関職員が液入り容器約200本を発見。近畿厚生局麻薬取締部が、男を大麻取締法違反容疑で逮捕している。

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