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【健康カフェ】(143)禁煙 報酬で成功率がアップ

【健康カフェ】(143)禁煙 報酬で成功率がアップ

https://www.sankei.com/life/news/181220/lif1812200011-n1.html

2018.12.20 14:10ライフからだ

 糖尿病で通院する60代男性は、20歳の頃からたばこを吸い続けている喫煙者。禁煙を勧めると、「誰かがお金を出してくれるならやってもいい」と言います。

 禁煙の見返りに金品を受け取ることは、実は禁煙継続の動機付けとして検証されている方法の一つです。

 職場の禁煙プログラムに金券の褒賞が付くかどうかで1年後の禁煙達成率に差が出るかを調べたオランダの研究結果が10月に発表されました。研究は、喫煙者約600人を金券を「もらえる群」と「もらえない群」に分け、週に1時間半の禁煙トレーニングを7週間受けてもらい、禁煙継続率を比べたものです。もらえる群は、トレーニング終了時▽開始後3カ月▽6カ月▽1年-のそれぞれの時点で禁煙できていればその都度金券がもらえ、すべてを達成すると総額で約4万5千円もらえます。

 1年後の禁煙成功率は、もらえない群が26%だったのに対し、もらえる群は41%で、もらえる群の方が15ポイント高いという結果でした。一般的に学歴や収入が低いほど喫煙率は高く禁煙率が低いのですが、この研究では学歴や収入に関係なく、もらえる群の成功率が高くなっていました。

 報酬の有無で禁煙の成功率に差があるかを調べた研究は他にもあり、いずれも報酬がある方がない場合より成功率は高くなっています。報酬の金額を高くした方が効果がありそうですが、オランダの研究よりも金額を高くして行った別の研究では、大きな差がないことが分かっています。

 また、禁煙を挫折する時期で最も多いのは最初の1週間で、3カ月続けば、その後に喫煙を再開することは少ないようです。

 一般的に、喫煙者は非喫煙者に比べ欠勤が多く、また喫煙により病気になりやすいため治療や休業に対するコストもかかります。そのため、従業員が禁煙することは経営者にも価値あることで、会社が禁煙プログラムや報酬を用意することは理にかなっているといえます。禁煙したい従業員にとっても、医療機関に行く必要がなく、職場で禁煙のトレーニングを受けられ、成功報酬もあるならば続けやすくなるでしょう。ただし、実際に行う場合は、非喫煙者の従業員への配慮が必要かもしれません。(しもじま内科クリニック院長 下島和弥)

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