「外食」全面禁煙の波…来年の法改正 対応/客や従業員 配慮も
すかいらーくホールディングス(HD)は、ガストやジョナサンなど約3200ある全店舗で全面禁煙にする。現在、約2300店に喫煙席や喫煙ブースがあるが、4月から8月末までに順次、喫煙席は禁煙席にする。喫煙ブースは、おむつ交換などのスペースとして活用を検討。店外に設置された灰皿も撤去するという。
イタリア料理チェーン「サイゼリヤ」も昨年夏から全席禁煙を進め、国内店舗の8割以上にあたる約900店舗で実施している。
2020年4月に全面施行される改正健康増進法では、飲食店は原則として屋内禁煙を求められる。喫煙専用室の設置や、規模が小さく個人経営といった一定の条件を満たす店は例外的に認められるが、大手のチェーン店は軒並み規制の対象となる見通しだ。
日本たばこ産業によると喫煙者の割合は17・9%(18年)と過去最低を更新しており、店内禁煙化が来店客の増加につながるケースもある。居酒屋チェーン「串カツ田中」では、18年6月からほぼ全店で禁煙とした。アルコール類の注文が減って客単価は下がったが、「家族連れの客数が増え、全体の売り上げは増加した」(広報)という。18年11月期の売上高(既存店ベース)は前年同期比2・6%増となった。
店内禁煙化は、従業員の健康への配慮という意味合いもある。全面禁煙を決めたすかいらーくでは、店舗で働くアルバイトの約3割を未成年が占めている。たばこを吸わない社員の割合を高めると、管理職が人事査定でプラス評価を受ける人事制度も導入した。
職場の禁煙化の動きは外食以外にも広がる。ソフトバンクは、就業時間中の禁煙を段階的に進め、20年には全面禁煙とする。オフィス内だけでなく、外出先なども対象となるという。トヨタ自動車も年内に、国内全ての施設を禁煙とし、屋内喫煙所を順次廃止する。
東京都や大阪府、千葉市などでは条例によって国より厳しい規制を導入する動きもある。また、20年夏の東京五輪・パラリンピックの際は多くの外国人が訪れるとみられる。分煙などへの意識が高い欧米などからの来店客を取り込む動きも加速しそうだ。
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