「たばこのない五輪」にスパート 受動喫煙対策、一気に厳格化
「たばこのない五輪」にスパート 受動喫煙対策、一気に厳格化
https://www.sankei.com/life/news/190228/lif1902280035-n1.html
2019.2.28 22:22
2020年東京五輪・パラリンピックでは、近年の大会で最も厳しい喫煙対策が取られる。大会組織委員会は28日、競技会場の施設内に加え、敷地内も禁煙とすることを発表。「たばこのない五輪」は世界の常識になりつつあるが、喫煙者は海外からも多数訪れることが予想され、周知徹底が課題となりそうだ。
東京大会を目指し、政府は急ピッチで受動喫煙対策の整備に取り組んできた。日本は各国と比較し、取り組みが大幅に遅れていたからだ。世界約190カ国中、屋内禁煙義務の法律があるのは約60カ国。日本では健康増進法の改正前、公共の場所の管理者に受動喫煙防止を求めていたが、努力義務にとどまり、世界最低レベルの法規制だった。
国際オリンピック委員会(IOC)と世界保健機関(WHO)は2010年に「たばこのない五輪」の推進で合意。以降、ロンドン(12年)やリオデジャネイロ(16年)など五輪開催国は、罰則を伴う法規制を整備してきた。
日本でも五輪招致の成功後、議論を拡大し、受動喫煙対策を強化する改正健康増進法が昨年7月に成立。公共の場での屋内禁煙を初めて罰則付きで義務付けたのが特徴だ。
9月開幕のラグビーワールドカップ(W杯)に間に合わせる形で、7月から、学校や病院などの敷地内禁煙の施行を先行して実施する。屋外喫煙所を設置することは認めるが、屋内の喫煙所は施行日までに撤去する必要がある。都も独自の条例を施行する。
大会組織委員会によると、競技会場内の完全禁煙はIOCからも強い意向があったという。加熱式たばこも禁止対象となり、喫煙者の観客を誘導するため、実際にどの場所で喫煙できるかを知らせなくてはならない。
競技会場の喫煙対策を強化した昨年2月の平昌五輪では、競技会場に入る前に喫煙した人のたばこの吸い殻が会場付近に増え、問題になったことが報告されている。大会組織委員会はスタッフやボランティアがその都度、喫煙者に対し、注意を促していくと説明。競技会場を抱える自治体にとっても、外国語での対応を含め喫煙所の周知徹底が求められそうだ。
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【用語解説】改正健康増進法と東京都の受動喫煙防止条例
改正健康増進法は来年4月1日より全面施行される。客席面積100平方メートル以下などの飲食店を喫煙可能とする改正健康増進法に対し、都の受動喫煙防止条例は親族以外の従業員がいれば屋内禁煙とし、「喫煙専用室」でのみ喫煙を容認。敷地内禁煙とする施設のうち、幼稚園や保育所、小中高校については、同法が屋外での喫煙場所設置を可能とするのに対し、都条例は成長過程の子供を守るため、屋外の喫煙場所設置も認めない。
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